ブルーベリー万歳!
 まずは、ブルーベリーからだ。
果実はよく成るし、栽培もわりと簡単なんだ、これが。
オレが思うに、果樹のなかではブルーベリーは最も簡単じゃないかな、と思っているくらいなんだ。
しかも樹が小さいから、庭が狭くても大丈夫だ。

ブルーベリーを知った
 果樹の本で、オレはブルーベリーを知ったんだ。
関東地方の庭でも栽培できるという。
急に興味が湧いてきたので、いろいろ調べてみた。

 ブルーベリーには大きく分けて二系統あることがわかった。
ラビットアイ系ブルーベリーとハイブッシュ系ブルーベリーだ。
で、ラビットアイは温暖地向き、ハイブッシュは寒冷地向きだそうだ。

 オレは茨城県に住んでいるが、どちらがいいのか?。
ラビットアイは、最低気温がマイナス十度以下だと寒害を受けるそうだ。
マイナス十度以下というのは、う〜む、オレの記憶では経験がないな。
ラビットアイはとりあえず栽培可能だ。

 本によると、注目すべき点として、ハイブッシュは関東の黒土そのままでは育たないんだそうだ。
その本の著者も最初は単に植えたんだと。
そしたらハイブッシュは発育がおもわしくなく、年々木が小さくなっているようだったとか。

 ハイブッシュ系ブルーベリーというのは強酸性の土でなければ駄目だそうで、育てるためには「ピートモス」という一種の酸性土を施す必要があるという。
実際にピートモスを与えたところ、ハイブッシュは急に順調に育ち始めたそうだ。
一方、ラビットアイは、関東地方の土でも発育したとのこと。

 当時オレは、そのピートモスを買うには金が足りない状態だった。
それを考えると、ラビットアイの方が良さそうだと思えた。
いちいちピートモスを施すなんてめんどくせえ。
だから、オレはラビットアイだけを栽培することにしたんだ。

受粉のため二種以上植える
 本には、ラビットアイは二品種以上混植しなければならない、と記述してあった。
果樹の本では「混植」という記述をよく見かけるが、これは一本だけでは実が成らないものが多いからだ。
ブルーベリーの花の中には雄しべと雌しべがどちらもある。

 しかし、近親交配を防ぐために、わざと受精しないようになっているんだ。
ラビットアイの中でも品種(ひんしゅ)といって、さらに細分化されていて、この中から二品種以上を混植して、受精させなければならないわけだ。
当時はラビットアイの品種は限られていて、三品種しか存在しなかった。

 ウッダード、ホームベル、ティフブルー、だ。
オレはさらに調べて、ウッダードとティフブルーだけを植えることにした。
ウッダードとティフブルーは、熟期が違うので都合がいいと考えた。
ホームベルは果実が小さいそうで、そのうえティフブルーと熟期が重なるそうで、これは植えないことにした。

 ハイブッシュについても一応調べてみたよ。
だけど、ラビットアイの三品種に比べると、ハイブッシュは二十品種以上あるんだ。
数が多すぎてわかんねえよ〜。
でも、オレはハイブッシュを植えるつもりは無かったから、どうでもよかった。

 あ、そうだ、重要なこととして、ラビットアイとハイブッシュを混植しても、これだと受精しにくいんだそうだ。
つまり実が成りづらいってこと。
園芸の本には、こういうことまでは載っていないことが多いから、まったく困っちゃうよ。
でも、オレはラビットアイだけを植えたので関係ない。

ブルーベリーを購入した
 当時(一九八〇年代)は、園芸店ではブルーベリーの苗木はほとんど見かけなかった。
まだまだ一般的ではなかったんだろうな。
仕方ないので、通信販売でブルーベリーの苗木を買うことにした。
購入したのは、一九八八年のことだ。

 だが、届いた苗木は、小さいうえに貧弱で、細い枝がひょろひょろと伸びてて、三十センチほどの高さしかないんだ。
庭に植えたが、これでは小さすぎて、わからなくなってしまう!。
心配になったので、四本の棒を立てて、ヒモを張って囲んでおいた。

 これで大丈夫だ。
その後もブルーベリーの苗木を追加購入したが、いちいち四本の棒を立てることはメンドくさくなった。
それに棒が足りなくなったので、一本だけ棒を立てて目印にするようにした。
植えてからは、まあまあ順調に育ったように思う。

 成長はあんまり早くなかった。
「いつになったら食べられるか?」が気になったが、確か二年ぐらい収穫がなかったような気がする。
三年目には収穫があったと思う。
だけど、実の数は少なかったと思う。

夏の楽しい収穫
 たくさん食べられるようになったのは五年目ぐらいからだ。
おもしろくなってきたのはそれからだ。
どういうところがオモシロイかというと、そりゃ収穫であって、連日続くというのがうれしい。
収穫は七月下旬ごろからで、八月になってからがメインだ。

 おっと、ここで注意点。
梅雨は、普通の年だと関東地方では毎年六月十日から七月二十日ごろだ。
ラビットアイの収穫は、ちょうど梅雨が明けてからになる。
学校も夏休みに入る時期だ。

 学校といっても、オレには関係ないけどさ。
ラビットアイの収穫は、時期的にとっても都合がいいんだ。
朝起きて、霧とかモヤがかかっている中を、屋外の便所へ用足しといったらイメージぶち壊しで申し訳ないんだけど、現にオレ自身がそうやっていたんだから仕方がない。

 そういえば、近年の夏の朝はモヤが少なくなったように思うが、朝六時のラジオ体操のころならあるかもしれん。
で、庭を見ると、ブルーベリーの実が熟しているんだ。
ブルーベリーといっても、青く熟すというよりは、黒く熟したといった方が現実には合っている。
本当は、青く(黒く?)なってからも数日はそのままにしておいた方が、もっと熟して甘くなるし、粒だってもっと大きくなるんだ。

 そうは知っていても、オレなんかはついつい食べてしまっているけどな。
一粒ずつ食べることが多いけど、ときどき手のひらにたくさん集めて、それを一気に口に放り込んでボリボリ食ってしまうこともしている。

ブルーベリーの写真
 ブルーベリーの写真を撮ってみた。
撮影時期はいずれも一九九八年の六月上旬だ。

ウッダード
 ウッダードの果実は、やや大きめだ。
やや独特の味がする。

写真
ウッダード(Woodard)

ホームベル
 ホームベルは、オレは植えないつもりだったが、ウッダードとティフブルーを追加注文したら、店側で品名違いがあったらしく、成った実はホームベルだった。
なお、味はうまい。

写真
ホームベル(Homebell)
背後は青いが、これは車庫用の青いビニールシートだ

ティフブルー
 ティフブルーは、果実の頭の花びらの跡みたいなものが、ホームベルと比べると高さがずっと低い。
というか、そもそもあまり出っ張っていない。
そのためのっぺりしていて、ウサギの眼球みたいだ。

写真
ティフブルー(Tifblue)

参考写真
写真
この写真は三品種を区別するための一助として、
T&FさんのHP
から引用したものだ

子供の反応は?
 お盆に姉の子供達が来たんだ。
普段もよく来るけどさ。
甥たち(三歳と五歳。一九九七年時点)は、庭へ出たり、歩き回ったりして、なんとも賑やかなものだ。
子供達にブルーベリーを食べさせようと前から考えていたから、さっそく庭のブルーベリーに案内した。

 八月上中旬というのは、ラビットアイの成熟最盛期で、収穫時期も都合がいい。
ブルーベリーというのは木が小さくて、オレはブルーベリーの背丈を高くして育てているが、それでも最高は二メートルだ。
一メートルから一メートル半が大部分だ。
この高さは、子供たちにとっても都合がよく、気軽に摘むことができる。

 さて、ブルーベリーの果実のうち熟しかけたものがいくらかあった。
が、なにしろ、うまそうなものはオレが朝にすべて食ってしまっていた。
その時に残っていたのは一応青くなりかけのもので、本当は、あと三日ぐらい熟させた方がうまいんだ。
それと、日陰気味の場所のものよりも、日当たりの良い場所のブルーベリーの方がうまいんだ。

 で、今回、甥たちに食べさせたのは、日陰気味の場所のもので熟しかけのもの。
結果は言わずとも予想がつくかもしれないが、甥たちは口に入れても全然うれしそうじゃない。
口に入れても、そのあと口から出しちゃった。
うまい果実を残しておけばよかったと、オレは悔やんだね。

 なお、その後、甥たちはうちに遊びにくると、「ブルーベリーは?」と尋ねるようになった。
関心を持たせることに一応成功したといえるだろう。
でも、正月に「ブルーベリーは?」と言われても、冬に果実はもう無いんだなあ〜。

つづく

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