ブルーベリーの甘さ
 経験的にいって、日当りの良い場所のブルーベリーはウマいので、日当り確保には注意している。
ブルーベリーの木を高くして育てているのも、そのためだ。
ブルーベリーというのは、日陰でも実が成ってしまうんだ。
それもたくさんの実が。

 放任しておくと小粒のブルーベリーがびっしり出来てしまいがちで、ぎっしり成るのはいいんだが、しかし、日陰で小粒のやつはあまりウマくない。
こういう状態のブルーベリーを子供に取らせて食べさせても、とくに喜びもしないというオレみたいな経験を繰り返しかねない。
子供を喜ばすには、栽培で少々努力がいるかもしれないな。

 ブルーベリーにも甘さはある。
しかし、以前(一九九七年)に甥っ子が食べていたお菓子を食べてみたら、これがすっごく甘いんだ。
こりゃ、かなわんと思ったね。
ジャムなら話は別だが、そりゃ、砂糖を加えて煮れば、甘くなるのは当たり前だが、オレは収穫したらすぐに食いたいので、生のままでもウマイものでありたい。

 小粒でも沢山収穫できるのを選ぶか、または少なくても品質がマシな方を選ぶか?。
それが問題だ。
今のオレは、収穫量が少なくても、品質がマシなものを選ぶようにしている。
そのためには、日当たりの良い場所に植えるということと、その後の剪定(せんてい)には力を入れるようにしている。

ブルーベリーの剪定
 最初オレは、ブルーベリーを剪定しなかった。
全然切らなかったわけだ。
だが、ブルーベリーの中でも、とくにウッダードだが、成り出した果実の重みで枝が垂れ下がるようになった。
実が枝の先端に成ると重さで垂れ下がって、地面に付いてしまいそうだった。

 土がついてしまうじゃねえか。
食うのに困る。
というわけで、垂れ下がった枝を竹で支えた。
これで良し、と。

 だが次の年は、枝がますます伸びて、枝がいっそう垂れ下がるようになった。
もはや、支柱なしでは持たない有り様だ。
そのうえ昨年立てた竹は、根元が腐ってきて倒れてしまいそうだった。
そのうえ、ひどく垂れ下がった枝は、地面に近くて日陰になったから、果実の味も良くない。

 そもそも、このウッダードの木は、高さが一メートルほどだった。
日当たりを良くするためには、周りには他の植物もあったから、ウッダードをもっと高く、せめて二メートルに伸ばしたかった。
しかし、ウッダードは枝が柔らかいようで、大きく伸びると重さで傾いてしまうんだ。
結局、枝が垂れ下がり放題でヤブみたいになってしまい、収拾がつかない感じだった。

 あ〜もう、こりゃ、やばい。
だんだんイライラしてきたオレは、熟考の末、エイヤッとばかりに、垂れ下がった枝を一気に切ってしまった。
これでセイセイした。
もったいないけど、このさい、しゃあねえじゃねえか。

新生ウッダード
 だが、このバッサリ作戦が意外な効果をもたらした。
次の年は、ウッダードから新しい枝がグングン伸び出したのだ。
今まで一メートルの高さだったウッダードだが、新しい枝が急激に伸びたおかげで、高さ一メートル半に達した。

写真
枝が急激に伸びたウッダード 1998年2月

 写真で、白っぽい部分が新しく伸びた枝だ。
この白い枝の先っぽには、花芽がついていた。
一九九八年夏、この花芽に果実が成ったが、このウッダードは一番うまい果実となった。

写真
成ったウッダード 1998年8月

写真
サイズはわりとデカい

 ウッダードはもともと大きい果実がとれるタイプだが、この年は見事なサイズのブルーベリーがザクザク採れた。
味もよろしい。
ブルーベリーの栽培で、大きな粒がこんなに沢山収穫できたのは、オレは初めてだった。
結果的に、強剪定をして長い枝を伸ばせば、その枝には大きくてウマイ果実ができやすいことを、オレは知った。
ただし、世の中には、もっと大きいブルーベリーもあるだろうから、これはオレ自身の感覚の話だ。

ブルーベリーの剪定
 で、大切な作業であることを知った「剪定」だが、冬になってブルーベリーの葉っぱが落ちたころ、剪定の時期になる。
ラビットアイは落葉しにくい葉っぱだけど、正月ごろから剪定に入れる。
な〜に、三月ごろまでに切ればいいんだから気楽なもんさ。

 オレの場合だけど、十センチ以下の枝が密生しているところは、バッサリ切っている。
とくに、夏に実が付いていた枝は、ごちゃごちゃした枝になっているが、こういう枝は、み〜んな切ってしまう。
そして、二十センチ以上伸びた新しくて元気な枝を残すようにしている。

 剪定といっても、枝の先端に実が成るから、表面を刈り込まないことが基本的な注意点かな。
枝の先っぽを切ったら、その枝には果実は成らないわけだ。
細すぎるごちゃごちゃした枝を切るだけでもスッキリするが、それからオレの場合は、主幹となる枝を決める。

 ジクザグでもいいから、樹の中心となる枝(幹)を設定する。
そしてこの中心枝から、放射状に広がっていくような形に枝を切り揃えて、内向枝は切るようにしている。

ハイブッシュ系ブルーベリーの栽培開始
 オレはラビットアイ系ブルーベリーを栽培していたが、ハイブッシュ系ブルーベリーは栽培していなかった。
が、気になる情報を知った。

 日本で栽培されているブルーベリーは、ハイブッシュが主流だったりする。
そしてハイブッシュの方が大粒らしい。
そのうえ、ハイブッシュの方がウマいらしい。

 聞きずてならない情報だ!。
だが、オレのラビットアイは、当時は小粒でマズいものが多かった。
これでは気になるのも無理もない。

 ハイブッシュは大粒か?。
ハイブッシュはうまいのか?。
ちくしょー仕方ねえっ!、オレもハイブッシュの栽培だああ〜っ!。

 改めて本で調べると、ハイブッシュの品種は大変多い。
ウェイマウス、アーリーブルー、スパータン、コリンス、ブルーレイ、ブルークロップ、バークレー、ジャージ、ディクシー、ハーバート、ダロウ、コビル、レイトブルー、とかかんとか、なんじゃこりゃ〜、多すぎるぞ。

ハイブッシュの試作
 ハイブッシュも二品種以上を一緒に植えると受粉・結実が良好とのことなので、とりあえず最低限の二品種を選ぶことにした。
あ〜だ、こ〜だの大検討の結果、ウェイマウスとブルークロップに決めた。

 ウェイマウスは、粒や味は中程度だが、ハイブッシュの中では最も早く六月上旬から収穫できるという。
本にもよく載っているので、調べやすくて都合がいい。
もう一方のブルークロップは、味・粒の大きさとも評価が良く、アメリカや日本では栽培の主力になりつつある代表的な品種だ。

 オレが買ったハイブッシュの苗木は、実がつきそうなつぼみがついていた。
で、さっそく七月に成った。
果実のサイズは大きめだ。
ラビットアイよりも大きな粒はあるが、収穫後半はラビットアイよりも小さいものも多い。

 味は、ラビットアイよりうまいものもあったが、小さい粒はうまくないものもあった。
なんだかバラついてるな。
これではラビットアイよりも良いとは限らんぞ。

 このころのオレは、果樹の本数だけはたくさんあったが、毎年のように少なすぎる収穫にしびれを切らしたオレは、果樹の大リストラを決行していた。
ハイブッシュの栽培は、ラビットアイよりも大変そうなわりには、ラビットアイと味は大差なかったので、当時はピートモスが入手しづらかったこともあって、ハイブッシュはリストラ対象にしてみ〜んな切ってしまったんだ。
ハイブッシュの本格的な味を知るのは、ずっと後のことになる。

つづく

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