渋柿を収穫する秋
 というわけで、オレは渋柿については「四ツ溝柿」をメインとして栽培していくことにしたよ。
最初、渋柿が三本あったのに一本だけになってしまって残念だが、四ツ溝柿一本だけになったとはいえ、たくさん成るから大丈夫だ。
四ツ溝柿は、一九九八年も順調!。

 たくさん収穫できて、いつもながら豊作だ。
日本の秋を実感するね。
収穫の様子をちょっと説明しよう。

写真
この柄付きハサミで収穫した

 かつては竹の先に枝をはさんで収穫していたものだ。
だが、困った問題があった。
竹の先で枝を折って地面に降ろすときなんだが、竹から柿の実が外れて落ちてしまい、割れてしまうことがよくあった。
竹の棒を握ったままイライラしてしまい困っていたので、今のオレは専用の収穫道具を使っている。

 この道具を使って、柿の収穫をした。
写真では先端にノコギリがついているが、これは外すことができる。
ノコギリの根元の所には「ハ」の字型の小さなハサミがついていて、これで果実の枝をはさむ。
そして、手元のレバーを強く握って、枝を切断するというわけだ。

 ハサミの部分には工夫が施されていて、切った枝を挟んで落ちないようになっている。
そのため、ゆっくりと地上に果実を降ろすことができる、という道具だ。
この道具は棒の部分が伸縮して、高いところにも届くので、収穫が楽にできるようになった。
この道具の値段は高かったが、なかなか便利だ。

 値段は三千〜四千円くらいした。
こんなに値段が高い物は、オレはあんまし買いたくねえんだけど、柿だけでなくて、他の果樹の収穫にも使えると思って、がまんして購入したよ。
使ったところ予想以上にいろいろと便利だったんで、今ではよく使っている。

シブーイ渋柿/翼をください
 手のひらに乗ってしまって、わりと小さい果実だ。
この四ツ溝柿というのは、もともと小さい果実が成るタイプなので、こんなサイズだ。
この「四ツ溝柿」というのはシブガキだ。

写真
成った四ツ溝柿 1998年11月8日撮影

 オレは甘柿も一緒に植えたけど、熟した甘柿を鳥のヤローにすべて食われたことがあった。
なんなんだよ、あれは!。
鳥のために栽培してんじゃねえぞ!。
思わぬ伏兵で、しかも逃げ足(羽)が早い相手で、犯人を捕まえることは不可能であったから、どうにも困った。
地団駄を踏むとは、このことだ!。

※「翼をください」という中学で習う歌をもじった文章を入れたいが、後日の予定。
♪『この背中にー、鳥のような、白いつばさ、つばさが欲しい』←甘柿を食った鳥の野郎を追いかけるため
※追記するのをためらうのは、この歌は高尚な詩であるため、茶化すのはどうかと思うから。

 それがだ、シブガキだと渋いから、これは鳥に食われねえんだ。
だから渋柿の果実はほとんど無事で、たくさん収穫できた。
渋柿でも軟熟したやつだと鳥につつかれて食われるが、柔らかいやつなら食われたってかまわねえよ。

渋抜きした四ツ溝柿
 この四ツ溝柿は渋柿とはいえ、アルコールで渋抜きをすれば甘柿のように食べることもできる。
そうはいっても、アルコールで渋抜きというのは作業自体がやっぱりめんどくせーし、昨年(一九九八年)は渋抜きに失敗して渋が残ってしまったものが多かったけどな。

 だから、やっぱり甘柿の方がずっと簡単だと思うけどよ。
だが、うまく脱渋できた四ツ溝柿というのは、すこぶるうまかった。
洋梨のようななめらかな歯触りと、上品かつ糖度の高い味で、普通の甘柿をかなり上回るうまさだった。

渋柿が意外な人気
 一九九九年は渋柿(四ツ溝柿)が、収穫ザックザクの大量豊作だ。
オレは、柄付きハサミを使って収穫して、百個ぐらい採った。
段ボール箱が一杯だ。
成った渋柿は全部で三百個くらい木に成っていたけど、さすがにこんなにいらねえぜ、といいたくなるくらいの量だ。

写真
たくさん成った四ツ溝柿

 百個も採れば充分、これくらいでたくさんだとオレは収穫完了し、実家に渋柿を運んだ。
渋柿はまだまだたくさん木に残っていたが、渋柿というのは皮を剥いて乾かすという作業が大変で、うちは毎年いいかげんだったから、カビが生えてダメにしやすかった。

 だから、収穫を多く採るよりも、加工作業にエネルギーをかけるべきとオレは思っていたので、ほどほどの数を収穫すればそれで十分と思った。
だから余った渋柿は、もったいないけど、収穫せずに放ったらかしにするつもりだった。

 とはいえ、実際に皮剥き作業をするのはオレの母親で、オレ個人はというと渋柿をたったの十個ほど取って、アパートに運んで皮剥いて、物干竿に干しただけだ。
でも、あー疲れたね、慣れない作業はくたびれるねえ。
ま、たった十個なら丁寧に管理できたし、皮を剥いた渋柿がブラブラしている様子は、なかなか楽しいものだ。

 ときどきつまみ食いすることにしよう。
この渋柿は四ツ溝柿といい、シブが薄いので、一週間後ぐらいから半乾き状態で食べられるようになった。
渋柿に関しては、オレは今年はこれでおしまいだと思っていた。
それがだ!、渋柿は意外なことに人気があることが判明した。

 オレがその後、果樹畑で作業をしていたら、近くで農作業をしていたお婆さんがきて「渋柿を少しわけてくれんか」と言った。
へっ?渋柿、あー、オーケーOKいくらでもどうぞ、というわけで、オレは喜んで数十個採ってお婆さんにあげた。
渋柿なら木に成ったまま大量に余っていてモッタイなかったから、かまわん。

 で、作業を終えて実家に行ったら、そこには渋柿がいくらか干してあったが、今度はここで母親が言うにはこれまた予想外であった。
「近所の奥さんに渋柿のことを話したら、干し柿用の渋柿を欲しいというのでこの前の渋柿(の残りは)はみんなあげちまったから、もっと採ってきてくれ」という。
あれれ、渋柿を欲しがるのけ?、とオレはとっても不思議に思ったが、なんだかよくわからんけど、とにかく渋柿(干し柿)は意外と人気あるんだな、とオレは思った。

※参考 四ツ溝柿の苗を販売している「樹美庵」

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