梅は茨城
 梅は茨城といっても茨城県の代表的な木は「梅」なので、茨城育ちのオレとしては、ちょいと強調しただけ。
別に茨城県であろうとなかろうと、家庭ではよく植えられている果樹だと思う。
柿に匹敵するんじゃねえかな。
柿は秋に成り、梅は初夏に成るから、季節が重ならないので都合がいい。
さらに梅は花が初春に咲くし、庭木としても見栄えがいいしさ。

写真
花が咲いている梅の木 1999年3月
敷いてある茶色っぽいのはベニヤ板(コンパネ)

興味を感じたきっかけ
 ここ、茨城では梅はあまりにも一般的に見かけるので、昔から当り前すぎて、オレなんか興味すら感じなかったくらいだ。
それに果実についてだけど、おにぎりに梅干しは似合うだろうけど、第一、子供が甘い果物ならともかく、スッパイ梅干しに興味を持つかあ?。
興味を持つこともあるだろうけど、でも、オレは甘党だ。

 オレはプラムやプルーン、アンズなどを植えることを優先し、梅は植えていなかった。
でも、親が「梅も植えろ」としつこく言うから、仕方なく植えることにしたんだ。
だからオレが梅を植えることになったのは、果樹の中では遅い方で、時期は一九九一年ごろだったな。

写真
他人の家のウメ 2001年6月17日撮影

ウメの調査
 さて、梅を植えることにしたが、なにしろオレ、梅のことはな〜んも知らねえ。
とりあえず、本を読んで調べることにした。
園芸の本を読んで、わかったことは、梅も一本だけでは成らない性質を持っているそうだ。

 違う種類の梅の花粉をもらわなければ、実がならない、という現象だ。
またかよ!、とオレは思ったが、まったくしょうがねえや。
だから最低限でも二種植えなくてはならない。

 そうはいったって、オレの住んでいるあたり茨城県は梅がよく植えられているから、一本だけ植えても、近所の梅の花粉で成ると思うけどよ。
そうはいっても当時のオレとしては、花粉のことも考えて、複数の梅を植えることにしたよ。

基本的な梅 白加賀と甲州最小
 いろいろ調べて次のウメを選んで植えることにした。
まず、「白加賀」だ。
「しらかが」と読むらしい。
梅としては最も代表的なものだ。
関東地方としてもごく普通に植えられている。

 粒のサイズは大きく、梅干しに良し、梅酒にも良し。
注意すべきこととして、白加賀というものは花粉がない、そうだ。
だから一本だけでは実が成らないという。
だから必ず、他の梅と一緒に植えなければならないそうだ。

 そのため「白加賀」は「甲州最小」と一緒に植えられることが多い。
甲州最小は「こうしゅうさいしょう」と読む。
甲州最小というのは、「小梅」の一種で、小梅といったら、コンビニの弁当によく入っていたっけ。
オレんちでは小梅を食べる習慣はあまり無いから、オレは植えたいわけじゃないけど、受粉の関係でいやでも植えなきゃならない。

 だってさ、白加賀というのは花粉がない。
一方、甲州最小は花粉があり、しかも一本だけでも実がなる。
だから「白加賀」と「甲州最小」をコンビで植えると良いわけで、梅栽培ではよく行われているコンビらしい。

 それにしても「甲州最小」というのは、最も小さな果実であることを意味すると思うが、オレはヘンな名前だと思うぞ。
せめて「甲州小梅」だな。
※補足:白加賀を、しろかが、と読んでも間違いではなく、甲州最小も甲州小梅という別名を使っても特に問題というわけでもない。

新型の梅 梅郷、高田梅
 「白加賀」と「甲州最小」は、近所の園芸店ではごく普通のものだ。
これだけでは物足りなく感じたので、別の梅も追加購入することにした。

 通信販売で買った梅は、名前を「梅郷」(ばいごう)という。
新しいといっても十年以上前に登録されたはずだが、な〜に、白加賀なんか百年前からあるはずだから(多分)、そういう年代物がたくさんある果樹では、十〜二十年ぐらいはまだまだ新しい方だ。
この梅郷も植えてみた。
白加賀は花粉がないが、梅郷には花粉がある。
ただし、梅郷は一本では成らないそうだから、甲州最小の花粉で受粉させることになる。

 それと「高田梅」というものも買ってみた。
これは、豊後梅という大きな梅の系統だ。
高田梅は、とっても大きなサイズの梅が成るという。

 以上、小粒「甲州最小」、中粒「白加賀」「梅郷」、大粒「高田梅」という組み合わせにした。
よっしゃあ、これで栽培開始だ!。
というわけで、植える場所を畑の隅に確保して、オレはこれらの梅を植えたわけだ。

梅の植え初め
 植えたものの、畑の隅の方で冷遇されたまんまの梅の木だったが、プルーンやアンズがなかなか伸びないのに対し、梅は元気よく伸び始めた。
枝は急激に太くなったりして、タフさを感じたね。

 白加賀は順調な発育ぶり。
こいつについてはいつも思うが、タフで丈夫なヤツ。
ろくに世話しなくても勝手に育っていった。
オレという人間様のことなんか知ったこっちゃないとでもいいたげな、「私は、わたくしなりに生きていくので、ご主人さまはなにもしなくて結構です。」というか、これはオレの勝手な印象だが、白加賀にはそんな感じがあった。

 一方、梅郷は、ややヤワな感じ。
それでもぐんぐん伸びたが、伸び出した枝の重みで、幹がぐんにゃりと傾いてしまった。
梅というのは枝が曲がりやすいみたいで、白加賀も曲がってしまったが、梅郷はモロに曲がってしまった。
で、樹の形がとてもヘンテコになってしまった。
しょうがないやっちゃ。
幸い、花はたくさん咲いたので、初収穫は期待できそうだった。

 高田梅もぐんぐん伸びた。
発育は順調。
つぼみが数十個ついて、花も咲いた。
これも初収穫が期待できそうだった。

梅まあまあ
 で、これらの梅たちだが、予想外なことにあまり実が成らなかった。
花の数がまだ少なかったため、受粉が不完全だったらしい。
それでも、白加賀、甲州最小、高田梅は、果実を少々収穫することができた。
木が小さかったから、まあまあというところかな。

新たなる出発
 で、その後なんだが、これまた予想外な出来事がいろいろあって、最初に問題になったのが梅郷。
伸びた枝が重さで大きく傾いてしまって、しかもキウイの棚の上にかぶさるようになってしまったんだ。
しかも、花がたくさん咲いたわりには、実があまり成らなかった。
実成りがイマイチだったのは、甲州最小とはだいぶ離れていたので、受粉不完全だったせいじゃないかなー、と今となっては思うけどな。

 木の形が曲がってしまったことについては、梅郷だけでなく、ほとんどの梅も曲がってしまった。
梅は材質が比較的柔らかいみたいで、枝が大きく伸びると、枝自身の重さで曲がってしまいやすいみたいなんだ。
それに、梅の枝は、先端の芽の伸びがあまり良くなくて、脇の芽の方が伸びたがる傾向があって(頂芽優等性が弱いともいう)、杉やヒノキのような樹形にはなりにくいようだ。
その結果、オレが育てた梅は、ヘンテコ極まりない形になってしまい、枝の形はモジャモジャで、収拾がつかない感じだった。

 それと、これはオレ側の事情だけど、樹の面積に余裕がない梅の木が多かった。
あとから梅を植えたので、やや無理矢理気味に植えたせいもあって、となりの木と近いものが多かった。
苗木を植えたころは、木が小さいから大丈夫だと思っていた。

 しかし、オレの果樹では、主役として植えた甘柿、スモモ、キウイ、ブルーベリーなどが大苦戦中で、これらの木と梅とは、二メートルくらいしか離れていなかった。
だから、木が大きくなってくると、とくに隣の木まで二メートルとかの間隔だと狭すぎて、全然話にならない。
枝が重なりあって、日陰がちになって、両方の木とも、結局はどちらも実があまり成らない、という事態になってしまった。

二兎を追うもの一兎をも得ず
 二兎を追うもの一兎をも得ず、というか、も〜、収拾がつかんな、ってな感じだった。
樹の形がヘンテコになりすぎたことと、日当たり確保という理由と、当時のオレはアタマにきて果樹の大整理(リストラ)をやっていたこともあって、梅はあまり収穫もないまま、ほとんど切ってしまうはめになった。
結局、イチからやりなおしだ。

 で、今は白加賀一本、甲州最小一本の合計二本だけ、という最低限の本数にした。
梅一本につき、直径四メートルの広さを確保して、余裕をゆったりと持たせた。
今度は大丈夫だろう。

 リストラの本来の意味は、restructure=編成し直す、組み立て直すという意味だそうだけど、オレが栽培している果樹は、切るだけじゃなくて新たに植えたものも多いよ(弁解)。
今では、大編成替えもほとんど完了して、西暦二千年になったことだし、新スタートで育てているところだ。
オレの梅栽培は、予想外に大幅な手間がかかってしまったけど、梅は簡単に育つハズなんだし、果実はカラスとかのトリの被害にあわないので、今後は順調にいくと思う。

作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
▲目次に戻る