色は匂へど散りぬるを 梅の開花期がズレた
 梅の花も、白く美しい花を満開に咲かせ、おしべとめしべの色恋交配に励むと思いきや、匂ったままですれ違って、実を結ぶことなく散ってしまった。
異なる品種を植えたから受粉は大丈夫と思っていても、誰でも二品種植えれば常に大丈夫なんてことは、ない。

 今回のような開花期がズレてしまうという思いもよらぬ出来事があるからで、この問題は今日これからの文章において、乗り越えた様子をお見せしよう。
すぐに豊作を思い描くといった浅はかな夢を見て、酔いしれぬようにしたいものである。

※上記は、いろはにほへとの和歌に、少しあやかってみたが、いろは歌の方の解説は省略。
 いろはにほへと ちりぬるを  色は匂へど 散りぬるを
 わかよたれそ  つねならむ  我がよ誰ぞ 常ならむ
 うゐのおくやま けふこえて  有為の奥山 今日越えて
 あさきゆめみし よひもせす  浅き夢見し 酔いもせず

 いわゆる梅、ふつうのサイズの梅、梅の実だが、これがというか、この果樹もだが、一本では成りにくいという特性を示す。
梅といっても、日本各地において地域特産のさまざまな梅があるわけだが、関東でのこちらオレのところあたりでは、一応、代表的な梅は、白加賀(しらかが、または しろかが)ということになっている。

 コンビ相手として、甲州最小という小梅があるので、これも植えると、交配相手となって、結実良好となるはずのわけだ。
だがだ!。
開花の時期のズレが大きすぎるんだ。

写真
白加賀 2006年4月2日撮影

 甲州最小は、梅としては開花が早い方で、ここらでは二月から咲き始める。
白加賀は、梅としてはかなり遅い方で、三月以降に咲き始める。
甲州最小が咲き終わったころになって、ようやく白加賀が咲き始める、という開花期のスレ違いがあって、受粉が不可能同然になってしまいやすいという問題があるんだ。

中間に咲く品種の梅
 ただでさえ寒い時期だから、虫による受粉が、なおさらうまくいかないこともあるようだ。
結実が乏しくなってしまう!。
じゃあ、どうすればいいか?については、試行錯誤を今さらしなくても、文献ではすでにある程度答えが出ている。
甲州最小と白加賀の両方の開花期の、中間に咲く品種の梅も植えればいい、ってことさ。

 この中間ごろに咲く品種については、関東地方においては、梅郷(ばいごう)という品種が比較的オススメ、となっている。
園芸店を見る限りでは、他には南高(なんこう)という品種もある。
が、南高梅は、陽光面が赤く色付きやすくて、熟度が進むと、梅の実がだな、モモみたいに赤くなってしまう。

 青い梅じゃなく、赤い梅の実とはいかに。
まあ、梅干しにするなら別にかまわないのだけど…、オレんちでは梅酒をつくる要望も少しあるし、梅酒といえば青い梅が入っているというイメージがあるので、どうしようか。

 白加賀は、梅干しにも梅酒にもどちらにも適した品種だそうで、この白加賀は定番の品種として、そのうえで、梅郷という品種は、外観が白加賀そっくりなので、混ぜても見分けできないんだそーな。
というわけで、オレは梅郷を買って植えておいた。

 なお、オレは花梅についてはロクに知らん。
花梅は、二月から咲き始めるものや、ピンク色の花もあって、実もそこそこ成るものもあるようだし、受粉相手として使えるものがあるだろうけど、どれがいいのやら、花より団子主義のオレとしては、花梅の品種はよくわからん。

 気の毒なことを言うのもナンだが、濃い赤の花梅(紅梅?)や八重咲きの品種などは、梅の実の発育には障害があるよーで、これらは成りにくいらしい。
さて、オレが植えた梅で、今あるのが、白加賀と梅郷と甲州最小の合計三本だ。
この三本が、今年咲いた。

つづく

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