花は咲けども 実ありてこそ 梅結果編
 梅の花が、七重八重に咲いたけれども、そのあとに白加賀の実が数個しかついていないことに悲しむありさま。
この悲しさといったら、梅は実だけでなく花も美しいということで、その花の美しさを見ることができても、この美しさはなんの役に立つのだろうか、果実用の梅の花は、実あってこそだろうに。

 悲しみ転じて、なんかこう〜、園芸カタログの、大実だの、よく成るだの、といった美辞麗句に、オレは無性にハラがたってしょうがないのだ。
その執筆者の口に貼ってやりてえぞ、ガムテープ!。

元の歌(句)
「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」兼明親王(太田道灌の句ではなかった)
「空蝉の唐織ごろも なにかせむ 綾も錦も君ありてこそ」和宮 十四代将軍徳川家茂の夫人。徳川家茂が長州征討で出陣のとき、和宮は土産に西陣織を希望したが、西陣織は和宮に届いたものの、夫の家茂は死んで戻ってきたときの歌。空蝉(うつせみと読む。セミの抜殻のこと。夫の亡骸を暗示)の唐織ごろも(西陣織の衣)なにかせむ(何の役にたつでしょうか)綾も錦(西陣織の美しい模様)も君ありてこそ(あなたがあってこそのものです)
「妻の口 一度貼りたいガムテープ」綾小路きみまろ

 梅の結果がでた。
甲州最小は、初収穫なかなかよし。
百個くらいとれた。
充分充分。

 梅郷。
これがぎっしり成った。
今日(二〇〇五年六月六日)まだ収穫していないが、二キロくらいあるだろう。
これも植えてから、初収穫といえる。
上出来上出来。

 青い梅は、ナマで食べてはいけないという話は、少し有名だと思うが青酸を含むとかかんとかで、でも、どうしたわけか、青い梅の実を、虫がかじった跡が多い。
日や雨にあたる面は、果実の皮にシミができて、キレイな果実がなかなか少ない。
ん〜、どうすればいいんだろう。

 で、お次、白加賀。
花の開花は、一番遅くて、春の気温もだいぶ上がってからだというに、これの実がろくにならん。
数個だけの惨状。
若木だからとか、樹勢が落ち着いたら豊作、とかカタログや書籍では表示してあるが、ふん、オレは目の前の現実の木を見るに、そう思わん。

 南高梅の栽培の解説文には、豊作、という言葉がとてもよく出てくる。
南高梅は、とてもよく成る梅らしい。
よく成るから増殖されて、園芸店の苗木コーナーにも盛んに並べられてお薦め品なわけで、つまりだ、逆に、そうじゃない梅もあることを暗示しているわけで、オレは白加賀がそうだと思うね(少し八つ当たり中)。

 いずれはうちの白加賀もよく成るようになろうけど、よく成る品種というのは若木のうちからよく成るものだ。
梅は、寒い時期に花が咲くから、虫の受粉活動も悪いし寒害で実の成りも悪くなることがある、という意味の解説が、結実不良に関しての本の常套句だ。
じゃあ、一番早くから咲いて寒い時期に咲いた甲州最小、その次の梅郷、これらがちゃんと成って、一番最後の時期で、暖かくなってから咲いた白加賀が成らなかったのは、なぜなんだよ。

つづく

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