鉢植えの本格サクランボ
 暖地桜桃じゃなくて、普通のサクランボ。
ナポレオンとか佐藤錦をだな、苗木を買ってきて植えても実が成らないのは、受粉不良のせいじゃねえ。
普通のサクランボを露地植えすると、木ばかりグングン育って実がならない、という失敗を非常に起こしやすいんだ。

 でも鉢植えなら、関東以南でもサクランボが成る、という情報を得ていた。
鉢植えで本格的にサクランボを成らすことができる!、という超猛烈な研究家がいて、茨城県内で説明会を開くという。
おお、行って聞いてみようじゃないか!。

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大鉢によるサクランボ栽培
2002年6月2日撮影

 茨城県南の牛久沼すぐ近くの農園。
軽トラックで運び込まれた「実付きサクランボ」がズラッと並んでいた。
そして主役の升本(ますもと)さんによる猛烈な解説が始まった。

サクランボが成ってる
「おたくの家でサクランボが成ってる?、桜よりも早く咲く?、早く咲くなら暖地桜桃だよ。断言しますよ。業者でも佐藤錦と言って暖地桜桃を売る例があるんです。桜よりも早く咲いたら暖地桜桃。三月ごろ咲いたでしょ。普通のサクランボはそんなに早くない。」

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大玉のサクランボ。味もうまい
2002年6月2日撮影

 そして鉢植えのサクランボを紹介しながら、
「果実は大玉です。LサイズやLLサイズ以上になる。多く付けすぎると大きくならないから、あまり数はつけてないけど、ホラ、このとおり」
と言って、穴ぼこが並んだ板を取り出して、サクランボの果実を通過できるかどうかで大きさを判別し、確かにこのサクランボは大玉サイズだ。

 「食べてください、一人一本につき一個ずつ」と言われて、遠慮してたら食えなくなるのでオレはさっそく食べてみた。
確かにサクランボの味。
おいしいねえ。
思わぬ場所で、オレにとっては初めてのサクランボ狩りをやることができた。

大まかな栽培のはなし
※ここでの話は暖地桜桃でなく、市販品のサクランボと同等のものを指す。

 サクランボを成らせることについては、説明文はとっても長いので、オレが適当に割り切って要点を説明したる。
サクランボというのは日本の気候風土では、過剰生育を起こしやすい。
繁殖(果実を成らせる)よりも、発育(樹の生長)に偏りやすい、ということが大問題だ。

 そこで適当?なイジメを浴びせて、成長させなくしてやる。
鉢植えがそうだ。
鉢植えは、生育環境が狭苦しくて、発育が鈍化して、繁殖(結実)しやすい。
サクランボを成らせるための条件を一つだけ挙げるなら、「鉢植えにする」ことで簡単に成るという。

 補足の条件としては、枝を真横の方向に伸ばす必要がある。
サクランボの枝は上を向いて伸びやすいので、ヒモで引っ張ったり(誘引)、枝の先端を摘み取って横向きに育つように、進路をひんまげてやる。

 あと、水分をあまりやらないようにする。
サクランボはもともと過湿に弱いためもあるが、日本の降雨量では多すぎるので、鉢植えの利点を生かして乾燥気味に育てるわけだ。
ボクサーの減量だかダイエットだか、これで半ば強制的に発育をとめて、ある程度の飢餓状態にさせるわけだ。

 あまり飢餓だと実が成らなくなるから、発育しすぎない程度に「飢え」させて、実を成らせるようにする、というのが升本流サクランボ栽培技術だ。
細かい手入れがいるが、鉢植えなので充分に管理できる。

写真
究極の一回転ひねり。鉢栽培としても小さくまとまる
2002年6月2日撮影

 今回の説明会の目玉は、一年生の苗木でも翌年から果実を成らせることができる、というものだ。
一本棒の苗木をだな、思いっきり曲げて一回転させて、苗木の根元にヒモでしばりつけるという、究極の誘引技。
これで、ちゃんと現実に、目の前の実物でサクランボ成らせてる。
お見事っ!。

升本さんのホームページ

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