ハスカップが成んねえよ
 ハスカップの実がたくさん成ればよかったんだけど、これが意外となかなか成らないでやんの。
結局、ほんの少しだけ収穫できたけどな。
あまりの少なさに困っちまったよ〜。

 そもそも「ハスカップ」って変な名前だな。
なんじゃい、それは?。
「ハスカップ」は、オレは園芸の本で知ったんだ。
情報をさらに集めたところ、ハスカップは北海道で野生で生えている果樹なんだそうだ。
アイヌ語が語源のため、「ハスカップ」だとかかんとか。
ハスカップの写真を見ると、果実の色は青というか、黒色というか、紺色で、グミの果実に似ていた。
ただし、果実のサイズはとても小さくて、長さ一センチぐらい。

イラスト

 ハスカップは木自体も小さいそうで、高さも一メートルぐらいだそうだ。
占有面積も一平方メートルぐらいだそうだ。
大変小さな木だな。
これなら試しに庭に植えても良さそうだ、とオレは思った。

 そう思ったが、当時は肝心のハスカップの苗木が入手できそうになかった。
近所には売ってないし、いったいどこで買えばいいんだよ。
だが、ちょうどそのころから、通信販売の果樹カタログに載り始めたんだ。
こりゃ幸いというわけで、オレはハスカップの苗木をさっそく買った。

ハスカップよ、育て!
 届いたハスカップの苗木は、長さ二十〜三十センチの細い棒がひょろっと伸びていただけ。
なんじゃこれは!。
はなはだ頼りないじゃねえか!。
こんなんで大丈夫か!。
だがブルーベリーの苗も小さな苗木で届いた。
まあ、しょうがねえやとオレはあきらめて、一緒に並べて植えておいた。

 さて、このハスカップの育ち具合は、一年で二十〜三十センチぐらいの伸びだった。
おせーな。
そう思いながらもがまんして面倒みてたら、三年目ぐらいだったか、数個の花が咲いた。
うれしかったね。
しかし、この数個の花には、果実は成らなかった。

 果樹の場合、たくさん花が咲いても果実になるのはほんの少しだけ、というものは多いからね。
数個の花しか咲かないときは、実がならなくてもしょうがねえや。
でも、次の年は期待できそうだ。
オレは期待しながら、待つことにした。

写真
ハスカップの花
この写真はオレが撮影したものではなく、
別ホームページから引用したものだ(現在リンク切れ)

ハスカップ発育順調
 さて、次の年は、花が十個ぐらいだったか、咲いた。
そして小さな果実が、数個ほど着果した。
こりゃ成熟までいくかも、とワクワクしていたら、果実の発育はどうも不完全で、完熟までいかなかったと思う。
いや、数個ほど紫色にまで発育したかもしれん。

 それを味見したかもしれない。
が、結局、そのときは味はよくわからなかったと思う。
なにしろ数が少なすぎた。
もっとたくさん成らないとね。

 思い直してみると、小さな果実がたくさん付いても、果樹の場合は発育途中で落下するものも多いからね。
少しばかり果実が付いても、それら全てが成熟するとは限らねえし。
まあ、しょうがねえかな。

 でも次の年は、今度こそ本当に期待できそうだ、とオレは思った。
あと一年ぐらいだ。
一緒に植えたブルーベリーに挟まれて、ハスカップは日当りが不十分だった。
そのせいでハスカップは発育不良だったかもしれないと思ったので、冬の剪定で日当りを良くしておいた。

ハスカップよ、成ってくれ!
 果たして、次の年。
ハスカップの花が数十個、いや、もしかしたら百個以上かもしれないが、小さな木に花がたくさん咲いた。
ヤッター!。
と思って観察していたら、花がたくさん咲くわりには、そのまま散ってしまうものがやたらと多い。
なんでだあ〜。
桜みたいにどんどん散ってしまうんだもんなあ〜。

 だが、その年は花の数自体が多かった。
花が果実となる割合は、その年もまた低かったけれど、花が多かったお陰で、二十個ぐらい幼い果実が付いた。
よっしゃあー、今年こそは大丈夫だ。
まったく、ヤレヤレだ。
これだけの数が着果したんだから、ある程度の数は成熟しそうだ。
こりゃ、期待してもいいかもよ。

 さてさて、せっかく果実が付いても充分発育しないものが、この年もまたけっこうあった。
まったく困ったもんだ。
そういう実は、後で食べても味が苦かったように思う。
まあ、こういうのも多少あるだろうと思っていたから、まあ、許せる範囲内だけどな。
結局、十個ぐらいの果実が無事に発育し、わりと立派に青黒く成熟した。

写真 写真
この写真は後年の2006年に那須高原で撮影


ハスカップの味は?
 肝心の味についてだ。
かむとプチっとして皮がはじけ、やや未熟だったのか、シャクシャクとした歯触り。
味は、ブルーベリーに少々似てて、ちょっと淡白だったような気がする。

 もう少し詳しく言うと、新鮮な国産サクランボにブルーベリーの味を混ぜて、ただし味は淡白で、皮を少々固くしたような感じだった。
または、未熟な巨峰の味で、しかも極小の粒、という感じだったように思う。
が、どうも全体的には、味がわかりづらかった。
マズくはなかったが、なにしろハスカップの実は枝豆の粒ぐらいのミニサイズで、それに数も少なかったしな。

 数十個ぐらい一気にボリボリ食えば、味がもっとよくわかっただろうけどな。
それにちょっと早採りしすぎだったかもしれない。
もっと完熟させれば、味は濃くなっていたかもしれない。
…かも、の話だけどな。
写真写真写真
この写真はさらに後年の2007年6月19日に那須高原で撮影

成らなかった果実たち
 しかしまあ、あれだけ花が咲いても、たったこれだけしか成らんのか。
花が落ちすぎるぞ。
当時は知らなかったが、ハスカップは一本だけでは果実が成りにくいのだそうだ。
一本だけでは成らない、というのは果樹ではよくある現象だが、ハスカップもまたそうらしい。

 だから、オレのハスカップは受粉不足だった、かもしれないな。
オレは、「赤実ハスカップ」というやつも植えていたぜ。
正式名「ウグイスカグラ」というもので、ヘンな名前だな。
漢字にすれば「鴬神楽」かな。
わかんねえけどよ。

 ハスカップというのは、正式名が「クロミノウグイスカグラ」というんだそうだ。
長ったらしい名前だな。
漢字にすれば「黒実の鴬神楽」かな。
つまりオレは「赤実ハスカップ」と「ハスカップ」の両方を植えていたわけで、受粉のことも考えていたんだ。
それがだ、ごく近縁の種類なんだろうけど、花の咲く時期が違うでやんの!。

写真 写真 写真
赤いウグイスカグラ 2004年5月19, 25日撮影
近所(茨城県)の山林で撮影

 だから、花粉の交配はやや無理な感じだった。
まあ、赤実ハスカップは赤い花が咲いたが、ハスカップは黄色の花が咲いたんで、それほど近い仲間でもなさそうだったけどな。
結局「黒」のハスカップがオレのとこではあまり成らなかったのは、やっぱり受粉不足が原因だったんじゃねえかなあ。
確かな保証はねえけど。

ハスカップの受粉
 赤実ハスカップについてだが、ハスカップよりも元気よく伸びたが、果実はさほど成らなかった。
赤実ハスカップは味がまずかった。
皮がグニョグニョしていて、プチッと破けると、少し変な味の甘ったるいような果汁がトロッと流れ出した。

 まるでナマのイモムシを食っているような感じだった。
本物のイモムシを食ったことはないけどさ。
ハスカップの方が、味はずっとマシだったな。

 ハスカップについちゃあ、受粉専用のハスカップも植えれば、もっと成ったかもしれない。
が、しかし、カタログにはハスカップは一種類しか載っていなかった。
どうすりゃいいんだ?。

 オレはハスカップをブルーベリーの間に植えていて、両脇のブルーベリーとは五十センチの間隔だった。
が、木が成長してくると、これでは狭すぎた。
今思えば、間隔はせめて一メートルぐらい欲しかったところだ。
結局、ブルーベリーの木が大きく育ち出したことと、そちらの果実がずっとたくさん採れるようになったこともあって、ハスカップは伐採してしまい、今はない。

ハスカップについて参考情報
(2004年2月13日時点のURL)

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