四季なりイチゴ サクラ咲く
 電子メールで知り合った廣田さん栽培の「四季成りイチゴ」は美味だという。
「いいなあ〜」と思って感想メールを送ったところ、苗をゆずってくれるという。
こりゃありがたい!、というわけで、栽培することになった。

 いただいたのは一九九九年の晩秋だ。
この四季成りイチゴの名前は不明ということだったが、ピンク色の花が咲く、という際立った特色があって、「さくら」という名前だったので、おそらく同じ品種なんだろう。

 春だ!
二〇〇〇年の四〜五月に花が咲き、実が付いた。
花は確かにピンク色で、ソメイヨシノの花びらによく似ている。

写真
うどん粉病のときは白花でもピンクっぽくなることがあるが、
この「さくら」はもともとピンク色の花だ
(2003年4月7日撮影)

うまいサクライチゴ
 イチゴは開花してから大体一ヶ月で実が熟すようだ。
熟すときに、アリンコやナメクジに食われることを警戒して、ビニルの小袋で果実を包んでおいた。
針でビニルを刺して小さな穴をたくさんあけたものの、ビニルが水蒸気で曇ったので心配だった。
いざ、熟すときがきた。

  食べると、こりゃあ、うめえや。
明らかにうまい。
甘味が濃くて、今までの四季なりイチゴの中ではトップクラスの味覚だ。
それどころか市販品のイチゴを上回る濃厚なうまさで、白っぽい未熟な実でも甘いのが特徴だ。

 一般的な宝交早生も植えたが、これは市販のイチゴと同じような味だった。
その後はいくつか収穫したが、ビニルで水分がたまったせいか、後半は腐ってしまった。
ランナーはどんどん殖えて繁殖力抜群で、最初に二株もらったが、夏までには十株以上に殖えつづけた。

 え、もう夏の話題?。
四季成りイチゴの、初夏とかの収穫は?。
それがな、ゼロだ。
生い茂るのはいいのだが、春に通常のイチゴのように出ただけで、それ以降は、つぼみがまったく出ず。

 九月上旬まで粘って観察を続けたが、とうとうツボミは出ず、すなわち春以外は開花も結実もなし、ということが判明したので、ここで断念して埋めて肥料にしちまった。
ま〜た四季成りイチゴの栽培失敗しちまった。

 もう十種ぐらい連続して失敗続きで、一番初めに取り組んだ四季成りイチゴ「夏芳」だけが大成功したのは、ビギナーズラッキーだったのか。
四季成りなのに四季成りでないという症状としては、いろいろ考えたが、草ボケ(過剰成長による結実不良)じゃないかなあ。

一期一会の四季なりイチゴ
 農業のベテランが書いた本によると、女峰やとよのかを「露地植え」すると実が成らない現象を起こすことがあって、これらの品種はハウス栽培向き専用なんだそうだ。
露地植えは宝交早生に限る、ということだ。

 四季なり?イチゴ「さくら」は、ある程度の「生育上の制約」たとえばハウス内で冬に結実させるとか、の条件の方がかえっていいのかもしれない。
四季なりイチゴの開発は、最近は猛烈な勢いで進められているので、ごく近い将来には有望種が登場確実だろう。

 そうはいってもオレ自身、初めてのイチゴ栽培(第一期)はうまくいって、今回のピンク色の花が咲く四季成り?イチゴに至っては、年に一回だけしか果実に会えなかった。
というわけで、いちごいちえ、と無理やり題名(一期一会の四季なりイチゴ)というわけだ。

 今後の作戦はある。
オレみたいなのが少しは売上を目標にしようってんだから、一般のイチゴ栽培の専門書をいろいろ買ってきて読んでみた。
これがよー、ものすっげえ、小難しい内容だらけなんだ。

 専門書を読んでもあまり楽しくない、というか、辛そうな作業がいっぱい。
それをいちいち述べるのは省略するけど、対照的に簡単で楽しそうなのはT&Fさんのイチゴ促成栽培

 冬の屋外というのは寒いしさ、温室があれば何かと良さそうだ。
品種は「とちおとめ」を栽培するにしても、オレみたいな初心者が市販のイチゴと同じものを栽培して、それが市販よりも味が劣っていたら悔しすぎるし、第一そうなる可能性はとっても高い。
ビビってしまう。

イチゴ錯誤サクラ咲くかマイウェイで
 だったら、四季なりイチゴ?「さくら」を栽培してしまおう、という計画を立てた。
これは濃厚な甘さでうまかった。
果実はたくさん成らないけど、量よりも「面白さ」でオレはやりたいから、趣味と練習を兼ねるオレとしてはこのピンクの花咲くイチゴがよかろう。

 なになに、T&Fさんの先ほどのホームページによると、イチゴは寒さに合うとランナーを発生する、ようだ。
四季なりイチゴ「さくら」は、ランナーが大量多発のうえに全然四季成りではなかったが、十一月中旬以前に温室に入れればいいみたいだなっと。
あと、イチゴ農家の専門書データによると、九月半ばに苗を引っこ抜いてだな、三十センチの根っこを十センチに切り詰めて、また植え直すと「必ず」花芽分化するという。

 とりあえず、冬はまず保温する。
一応は四季なり品種だから、根切りすれば、夏にも成るだろう。

 台を設けて高い位置で栽培するのは、工作が下手くそなオレには難問だから、いやなに、二〇〇二年に長机の上にプランターを並べてイチゴを試したことがあるけど惨敗しちまった。
今度は地面で栽培することにしよう。
やり方は、「家庭菜園ビックリ教室」という本の内容が強力なので、これに準じることに決めた。

 それにしてもイチゴを栽培するのは、設備がやっぱり何かと大変だな。
だから、なるべくラクにラクに、できるだけ簡単にシンプルに、収穫量はそんなに多量でなくてもいいから、手間はずっとずっと小さく済むようにしよう。

 これらイチゴに関しては、オレが選択して、オレが自分で判断した。
だから失敗しても本のせいにすることはできず、でも自分のせいにはしたくないから「まー、いーじゃん」であきらめもつくし?、ピンクの花が咲くから観賞用だの趣味だと言い訳にも使える。

♪「自由な心で暮らそう〜、わたしはわたしのやりかーたーでー。」
中学生のころに歌った歌「マイ・ウェイ」(2003年4月17日時点のURL)
ネットで調べたら、原作はたまげるほど歌詞の内容が違うのね…。

【補足 購入先】
 四季なりイチゴ?「さくら」は、そもそも廣田さんの四季なりイチゴは品種「さくら」でない可能性もごくわずかにあるが、それは各自の責任で判断するとして、さくらはクワンシェという名前で株式会社ベルディで販売されている。
オレは先日三株だけ買って、一本三百円で、送料や手数料が加算するので、受け取るとき約二千円かかった。

作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
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