ニガいからニガウリ(ゴーヤ)
 西暦二〇〇〇年の夏だけど、あぢ〜、暑すぎる〜〜。
強烈直射日光をアタマに浴びりゃ頭ズキズキ、暖かすぎるモワモワ部屋に入りゃあー、無気力グッタリ汗ダラダラしてしまうぜ〜。
なんだよーこの熱さはよー!、あ〜ぢーっちぃ〜、あーぢぃ〜♪。
※将来のための補足説明 郷ひろみのヒット曲「ゴールドフィンガー」の歌詞から(だっけ?)。

 そんなクソ暑い季節にぴったりの野菜がニガウリだ。
ニガウリというのは、まさしくニガいウリだ。
沖縄では有名な野菜らしくて、もともとはローカルで地域限定的な野菜だったらしい。
オレの地域では、今までニガウリは全く見かけなかったが、地球温暖化の猛暑のせいか近所でも見かけるようになってきた。

写真
イボだらけのキュウリのような外観 2000年9月6日撮影

 オレがニガウリを初めて知ったのは、そうだな十年ぐらい前かな(一九九〇年ごろか)。
ニガい味のものは苦手なオレとしては、なんでわざわざニガいものを食べなきゃならねーんだ?、と最初すぐに思った。
味覚おかしいんじゃねーか理解できねえよそんなの、というわけで、オレはニガウリには全く興味がわかなかった。

ニガけりゃいいんかニガウリ炸裂
 ある日、家庭菜園のエッセイ本を読んでいたら、ニガウリは完熟すると甘くなるという。
ほう!、意外だ。
果肉が黄色く完熟したら、タネのまわりの部分が赤くなって、それをしゃぶると甘いらしい。

写真
この写真はオレが撮影したものではなく、
http://www.jade.dti.ne.jp/%7Easako-n/garden/diary/diary27.html
から引用したものだ(現在リンク切れ)

 オレが注目したのは、なんといっても栽培のラクさについてだ。
ニガウリのタネをペッペッと吐き散らしたら、翌年に勝手に芽が生えてきて、勝手に育ったそうだ。
で、勝手に実が成ったそうだ。
で、さらに放っておくと、タネができて、勝手にこぼれて、翌年にまた芽が出たという。

 人間がやるのは収穫だけ、というわけだ。
おお〜ラクでいいねえ。
オレは、こういうラクチンな栽培が大好きだ!。
ニガウリを植えたいと思ったが、当時はニガウリのタネは全く見かけなかったので、買えなかった。

ニガウリ西暦二〇〇〇年デビュー
 最近はあまりの猛暑のためか(一九九九年も猛暑)、テレビ報道のためか、ニガウリは急に有名になったようで、西暦二〇〇〇年には近所の大型園芸店で、ニガウリのタネや苗が売られているのを発見した。
まったく意外だ、と思いつつも、オレは喜んでタネを買った。

 タネ袋を開けたら、ニガウリのタネはヘンな形で、亀の甲羅を超小型にしたような形だ。
五月半ばごろ蒔いたら、十日ぐらい経ってから芽が出た。
しかしニガウリは広い場所をとるらしくて、家庭菜園は狭くて制約があったので、このときはニガウリ栽培は中止して埋めてしまった。

 その後(六〜七月ごろ?)、園芸店で「シロニガウリ」という名前の苗を見つけた。
この白ニガウリはニガ味が薄いので、食べやすいという。
「これは欲しい!」とオレは思ったので買った。
このあと普通のニガウリ苗も買ったので、どちらも育てることになった。

 買ったニガウリ苗だが、今度は実家に運んで、茶の木の根元に植えておいた。
カボチャのようにツルが絡みついて育つそうなので、ニガウリは茶の上に伸ばして育てようと思ったからだ。
サザンカやツバキ、ツツジなどの植木でも良かったが、地面の上だと雑草ボサボサだし、他の作物もあるので、植木や垣根に絡ませた方がラクそうだ。
あとはほったらかしだ。

ビールと同じか夏はニガウリ
 ニガウリの苗の育ちは最初トロかったが、その後だいぶ経ってからグングン育ちだした。
植えた時期が遅かったせいか収穫はやや遅れて、八月中旬以後から採れだした。

写真
普通のニガウリとシロニガウリ
2000年9月8日撮影

 西暦二〇〇〇年の夏は、あまりにも暑い日が続いたのでオレは味覚が変調してしまい、ニガイままでエエ!、ニガい油炒めをワシワシ食べまくった。
なにしろ暑すぎるので、夏バテ防止というか単に味覚が合っていたのか身体的に欲しているのか、オレは食いたいから食った。
ニガウリの味は本当にニガかったが、シロニガウリは苦みが薄いせいか、それほど気にならなかった。

 ビールと同じで、暑い時期はニガい味を好むようになるのかもしれん。
胃腸薬も、苦いと胃液の分泌が盛んになって吸収・消化が良いようで、胃薬はわざわざニガイ味に作られているらしいからな。
だからニガウリは、暑い時期にビタミン吸収として良い食べ物じゃないかなー、とオレは勝手に解釈した。

 ニガウリ料理について母親が言うには、ニガウリ&野菜混合の油炒めは、油で炒めながら、めんつゆ(うどん用など)で最後に熱を加えて仕上げると、ダシが簡単に効いておいしく作れるそうだ。
確かに味は充分うまかった。

甘いニガウリ
 ニガウリが完熟したものは、タネのまわりが甘いという。
そうはいっても、暑さに衰弱したオレはニガウリ料理をせっせと食い続けていたから、ニガウリの完熟したものはなかなか見かけなかった。

 そんなある日、他の作物の影に、オレンジ色の怪しげな物体を発見した!。
ギョッとしたが、それはシロニガウリが過熟した姿だとわかったものの、果実の先端はグチャグチャに崩れて、小さな虫が周りを飛んでいて、崩れた果肉には空洞が見えてて、赤い実がちょっと見えているというカルトな姿だった。

※カルト=カルト教団とかに使う言葉だが、意味としては異様変態怪奇的とでも言うのか?わからん。

 オレはかまわず拾いあげて、はじっこの汚い部分を捨てて指でダイダイ色の胴体を裂くと、アーモンドチョコみたいなサイズの赤い粒々が入っていた。
赤い粒はヌルヌルしていて、口に入れるのは勇気がちょっと必要だったが、ほのかな甘さがした。
まあまあ〜うまいぞ、こりゃ。

 強い甘さではなく、淡い甘さなので、ベリーの果実というほどじゃあない。
味も見た目も、他人が喜んで食うかどうかは知らないが、いや、あまり喜ばないと思うが、過熟ニガウリの再利用法として、オレはオレ自身のために個人的に楽しむことにしよう。

 さて、タネの周りの赤身は、量的にはだいぶ少ない。
一方、オレンジ色の「皮」は大量に残っていた。
ひょっとして皮も甘くなったかも?と思って、オレはかじってみた。
が、まるで胃薬の錠剤をかじっているみたいで、やっぱりニガかった。

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