バスケットに摘んだのはマルベリーか
 マルベリーって、どんなのかな?と思っていたら、桑の実だという。
食べられることは知っていたが、なにしろ家庭果樹の本に載っていなかったので、よくわからなかった。
苗木を見かけなかったし、通信販売で買うこともなかったので、オレにとっちゃあゴブサタのままだった。
養蚕用の桑の木に果実が成るといっても、養蚕の桑が果樹苗コーナーで売られているわけもねえ、よな。

写真
これは養蚕用の木になった桑の実
2001年6月2日撮影

 それがだ、最近の園芸本にはマルベリーのことが載っていることがある。
マルベリーの苗木も、今では売られているそうで、わりと近年だ、近くのホームセンターで発見したんだ。
マルベリーって、ちょっとハヤり出したのかもしれないな。

 そのとき買った苗木は、大実クワ、というものだったかもしれない。
植えるにあたって、育て方について調べてみた。
とはいえ情報そのものがほとんど無かったが、わざわざ説明する必要もないくらいに『超簡単』らしい。
ひとつだけ気になることがあった。
クワって、オスとメスの木があるという。

 これはちょっと気になるな。
マルベリーの苗木は、オスの木もないと受粉できないのかな?。
オレにはわからなかった。
とりあえず植えてみることにしたよ。

伸び伸びた クワの実たべた
 初めて入手できたマルベリー(桑の実)の木、これで子供のころからの念願がかなった。
これでようやく桑の実をじっくり味わうことができるぞ!。

 買って植えたものの、新しく二本目を買ったり(これの品種名はスイートマルベリーだったかも)、気が変わって場所の植え替えをやったり、あっちだこっちだと落ち着かない育て方になった。
初年度は、伸びはたいしたことない。

 果実が欲しくて、どんどん伸びてね〜と、大事に育てたつもりが、二年目、三年目となると、ぐんぐんぐんぐん!と一年間で一メートル以上に強烈に伸び始めた。
さらに翌年は、その枝先からまた同じように、ぐんぐんぐんぐん!と伸びるから、肝をつぶす思いだ。

 でけーよ!。
一年で一メートル以上の伸びだ。
のびのびた、だ。
小さいからチビと名付けた子犬が、でっかい大型犬に育ってしまったような、そんな感じだ。
マルベリーの育ち方って、おっそろしいほどタフだね!。

 二〇〇三年六月二十八日に、大実クワの果実を食べた。
昨年(二〇〇二年)買った苗だが、昨年は少し成って、それは買ったときにすでに少し実がついていたためだが(実付き苗木だった)、今年(二〇〇三年)はちゃんと育って成った実だ。
果実のサイズでかめ。
味?。

 うーん、あっさり味。
あんまり甘くなかったのだが、先日、大森観光果樹園というブルーベリー園に行って、そこでもクワの実が園内にあったのだが、あまり甘くなかったので(降雨のせいかと思ったが、園の人もあまり甘くないことを言っていた)、うーん、つまり大実クワの実は確かにでっかいのだが、甘さはやや薄いのであろう。

 山の桑というか、小鳥が食べた糞で勝手に芽生えたのかもしれないが、そういう桑は、果実の表面にちっちゃな突起が粒のそれぞれに出ていて、なんか異様な姿なのだが、それは小粒とはいえ、かなり甘かったな。

写真
野生のヤマグワは、果実の表面に突起がある。
2006年6月26日撮影

 さてさて、うちの大実桑の果実、腐り気味の果実はつまむと指がかなり紫色に染まってしまい、どうもこれではブルーベリーほどには発展しそうもないような気がするが…、ともあれ、一本キープ、オレの果樹コレクションに、桑の木も維持していこう。

二〇〇四年初夏クワの実なった
 二〇〇四年初夏、成った、成る成る成る。
果実がもう、かなりの成り具合だ。
オスの木はなくても、成るようだ。
せいぜい三年目だと思うが、なんだかまるで、持て余し気味と感じるほどの豊作ぶりだ。

写真

 味は、甘いぞ。
少し食べると、おいしくて楽しい。
だが、ちょっと量が多すぎるのだ。
それになんだか、食が進まんのだ、ちょっと大味気味。

 少し無理して食って、なにしろオレが栽培者自身だから、育てた本人はおいしく感じ易いもので、そのオレ自身が大味だとか、どうのこうの言うのだから、味のほど、推して知るべし。
まあ、うまいのだ。

 なお、念のために言うが、このマルーベリー大味指摘は、オレ以外の人からも聞いたことがあるし、またよその園の樹でも同じような味覚だったので、どうやらこのような味らしいのだ。
野生の桑の実の方が、どうしたわけか、うまい。
桑って、大きな実であるほど、大味になる、という傾向もあるみたいだなっと。

 さて、時期は六月ゆえ、梅雨時でシケっぽいし、気温も高い。
うちのマルベリーの熟期の後半部分は、前半の食べ残した果実が腐り始めているわけで、もうっ、熟期の終末期に至っては、果実をつまめば指がぐちゃっと着色し、味は変になってるし、カビや腐りがひどく、ハエが飛び交い、採った果実を容器に入れて置いておけば、小さなウジがはい出してくる、うっわあ!、という壮絶かつ、なんというべきかの惨状であった、うがっ!。
ちなみにヤマグワというか、野生的な果実の方では、こんな惨状にはならない。

赤とんぼが誰かに追われて見たのはいつの日か
 収穫が完全に終わって夏のころ、マルベリーはまたもや枝をぐんぐんと伸び放題のわけで、背の高さを超えそうになっているし、来年になったらこの成長ぶりでは高さ三メートルになりそうで、どうなることやら…。
というわけで、オレは、草刈り機のハンマーナイフモアに動員をかけて、根元から二股に伸びていたので、片方の幹の方は梅の日陰になっていたこともあって、その日陰の幹だけは枝葉もろとも根元から粉砕した。

 木をむりやりに小さく切り詰めたわけだ。
最初は、マルベリーの木、大事に育てていたよ。
だが、あまりにも育ちが強烈なのだ。

 売っている苗木のときの姿は、とても小さくて、かわいらしい。
おいしいベリーが成るというし。
甘い果実がかわいく成って、うれしくてうれしくて、初成りはとっても楽しい。
だが、ベリーというには恐ろしいほど、木の育ちは強烈だし、意外と大木になる、と言っておこう。

 そんなわけでムリヤリ木を粉砕して半分の大きさに仕上げたオレであったが、秋口になって再成長もあったので、狂い咲きを起こしたようで、秋に果実がなった。
マルベリーとは、すなわち桑の実であるから、そうそう!、赤とんぼをゲットすべし!。
赤トンボを追え!。

 写真とってやる、と思っていたが、秋に桑の実が用意できたのは狂い咲きとはいえ事実だったが、赤とんぼと桑の実の一緒の写真はとれなかった。
うーむ、サボりだ。
なお、秋の桑の実は、味が初夏よりもイマイチであった。
成った数も、かなり少ない。

 気温不足か?。
あと、桑のオスメスの件のことだけど、オスの花粉は風で飛んで受粉するそうで、かなりの飛散距離があるから受粉用のオスの木は用意する必要はないらしくて、実際に無くてもうちではぎっしり成ったけどな。
が、狂い咲きして季節はずれにも果実が成った、というコトは、季節違いの時期に花粉があるわけないから、オスの木がなくてもある程度は果実が成る性質を持っているのだろう。

 それにしても、味の点がやや気になる。
そこで、マルベリーのなかでもとくに美味だという『ビクトリア』という荘厳かつ栄華な偉大な名前がついた品種も、通信販売で買ってみた。
が、これは現在(二〇〇五年初め)まだ小さな木で、実が成っていない。

赤蜻蛉の歌

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