北限のミカン狩り
 ある日、新聞で茨城県内のミカン狩りの記事が載っていた。
「北限ミカン」というのがキャッチフレーズだ。

 ミカンは、寒い地域では枯れてしまうので、愛媛や和歌山、静岡、九州、瀬戸内海などの暖かい地域で栽培されているわけだ。
茨城県ではだいぶ北だが、ここでミカンの北限について述べてみよう。

地図
↑左 http://www.wnn.or.jp/wnn-s/kisyou/k_data/d_minave.html   
   http://www.wnn.or.jp/wnn-s/kisyou/k_data/d_nenave.html 右↑
上記URLの地図から引用して合成した(2000年12月8日時点のURL)

 左側の地図で「9」の線のところ、茨城県沿岸部や新潟市、佐渡が島ではミカンが栽培できることが判明している。
年数の古さや植えられている家庭の多さから、「9」の線内は一応大丈夫らしい。
オレが見た新聞の「北限ミカン」園は、太平洋側の「9」の線ギリギリの位置にある(+印の少し右上)。

 +の表示はオレの果樹畑の位置だ。
栃木県南部でも、ミカン栽培はなんとかできるみたいなので、「9」の線よりも、ほんのほんのもう少しだけ北まで可能のようだ。

 が、 右側の地図「12」の線までとなると、これはだいぶ無理があるようだ。
宮城県南部では、ミカンよりも耐寒性が少し強いユズやビワの木はあるそうだが、ミカン栽培となると無理気味らしい。
商業・経済栽培としてのミカン園なら、左側の地図で「9」の線が限界のようだ。

 とはいえ、ミカンの供給過剰で安価となってしまっている現在では、なにも北限近くのミカン園でやっとこできるミカンでは、愛媛ミカン等と張り合うことは不利というか全然かなわなくて価格的にも安くなってしまうので、北限付近のミカン園は減少傾向にあるらしい。

 ただし、家庭用としての趣味のミカン栽培に限れば、植えている家庭が多いみたいだがな。
それと、「北限」のミカンという産地は、調べてみたらこれが一ヵ所だけとは限らないようで、意外とあちこちで「たくさん」あった。

ミカン狩りに行こう!
 さてさて、もともとオレの住んでいる地域は、ミカンの木は珍しい方だ。
最近はそうでもない傾向がでてきたが(植えて実が成っている家庭が近所にあるのだ)、昔からミカンの木が植えられている地域ではない、ことは確かだ。
そんなわけで、なにしろオレはミカン狩りを今まで一度もしたことがない。

 その新聞記事で紹介されていた北限ミカン園は、オレのところからは比較的近いことがわかった。
ミカン園は、その町内では一ヵ所しかない、というので、オレも道に迷うことはあるまい。
よっしゃ、いこう!。
というわけで、西暦二〇〇〇年十二月三日に、高速道路を使って、オレは北に向かって出発した。
茨城県の十王町というところだ。

 道のりは、やや山間部の限られた道路沿いだったこともあって、比較的あっさりと「みかん園」の看板を発見した!。
ドキドキしながら細い脇道を入っていくと、おおお〜、ありましたっ!。
毎度おなじみのミカンの段々畑と、ぎっしり成っているミカンだああ〜っ。

 南斜面に濃い緑色のミカンの木が植えてあって、ダイダイ色の果実がたくさん色づいて、ワクワクするような光景だ。
まさしくミカン園だあ。
冬といえば枯れ葉の雑木林が普通なのに、ここは陽当たりも良くて別世界のようだ。
やったね!。

 ここのミカン園はオープンしてから三十年以上もたっていて、お金の料金所や摘み取りして食べる場所や駐車場などがすでに充分整備されていて、客への説明も手慣れたものだ。
入場料というか、食べながらの摘み取りと一アミ(網状の袋。約二キログラムの持ち帰りが可能)で、料金は一人六百円。
ずいぶん値段が安いと思う。

ミカン狩り開始だ
 さて、いざミカンは?。
木の高さは二メートルぐらい。
樹にゴテゴテと、ダイダイ色のミカンが成っていた。
ちょっと信じられないような気がしたが、やっぱり本物だ!。

 料金所で、摘み取りハサミというのか植木ハサミ?を貸してもらっていたので、これを使ってチョッキン、とミカンを収穫した。
気分は上々。
すっかりゴキゲンになった。

 味はすっぱいかも、と思っていたが、味は…少々すっぱめの気もするが、普通のミカンとほぼ同じ味がした。
つまり、すっぱさがどうのということは問題でなく、大丈夫の範囲内だ。
これで充分充分、問題ない。

 サイズは、大きいのは優先的に収穫されてしまったためか、SとMが中心だ。
Sサイズが多いかな。
※S=スモール、M=ミドル、L=ラージ。
ただし、大きいのは皮が厚くて味が酸っぱいものが多く、なぜか、小玉の方がうまかった。

冬はミカンだ
 ミカンの皮の捨て場所が用意されていたので、そこへ皮をポイポイ捨てながら、ミカンを食べまくった。
なにしろミカンはいっぱいある。
家族連れの子供の声が響いて、なんとものどかで平和な光景だ。

 オレの庭でもミカンの栽培はできるかもしれないが、寒波にビビりながら栽培するよりも、ここのミカン園に来て腹一杯食べた方が簡単じゃねえかとかかんとか考えた。
そういや、オレの果樹栽培ではこの時期に収穫できるものがないから、それにイチゴ狩りは一月ごろからだろうから、冬はミカンもいいねえ。

 感慨にふけりながら、のんびりしてミカンを立ち食いしてると、ミカンはブルーベリーやイチゴと違って食べる量が多いのですぐに腹一杯になってしまった。
もう食えん。
時間制限はないが、網袋にミカンを詰め込んで帰ることにした。
また来たくなったら来ればいい。
※十二月一杯まで開いているらしい。

 ここのミカン園は南東斜面に開けていて、南西には山があって十二月は日差しが低いこともあって、午後になると部分的に山の日陰になってきたので、今度来るときは午前の十〜十二時ごろが良さそうだな。
ミカンの収穫シーンもたくさん撮影した。
で、充分に満足してアパートに帰った。

コタツでミカン
 持ち帰って、改めてミカンを見てみると、むむ〜、Sサイズが多いし、皮の外観は、お店のミカンに比べるとやや不利かな。
ちょっと酸味がいくらか多めのように感じるが…、我ながらいかん、いかん、ちょっとしたことが気になってしまうな。

 なんといっても「摘み取り体験」というものが面白さのモトだ。
果樹といえば「収穫と食うことだけ」しかやりたくないというのがオレの方針だし、そもそも、茨城県北部は商業ミカン園というものが、ここをのぞいてはひとつもないのだから(多分確実)、ありがたく利用させてもらうことにしよう!。

 収穫シーンの画像を選ぼうとパソコンに転送しようとしたら、安物デジカメの画像が全部消えてしまってらあ!。
なんてこったい!。

写真
収穫してきたミカン 2000年12月3日撮影

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