晩秋の一日はミカン園に行く
 二〇〇三年十二月七日、天気予報を見ると晴れ、じゃねーか。
よしっ!、親戚の子供(甥)を連れて、ミカン狩りに行こうっ!。
もう十二月だから、ミカン狩りのシーズンが終わってしまうからな。
クルマで約一時間かけて、栃木県の山中に向かう。

 あれ?「国見ミカン園」の案内立て札があるぞ。
今まで見たことなかったが、なにかヤル気が上がったのだろか、良いかもしれん。
烏山町の国見に到着!。
ここには小規模ながらミカン園が多くあり、今までに何回も来たことがある。

写真
これは2年前の2001年に撮影したもの

 今回は新しく初めての園に入ってみよう。
道ばたには「ミカン狩り」の旗が立っていても、その受付所が道ばたにあるわけではないから、農家?の庭までクルマをかまわずに乗り入れた。
そこに居たおばちゃんに話して入園料一人五百円を渡して、オレは裏山のミカン園に上がった。

 斜面から下界を見渡して、うーん、良い眺めだ。
ダイダイ色のミカンが色付き、濃い緑色の葉っぱが冴えている。
枯れ葉が散った晩秋だというのに、ここの園地だけは桃源郷の雰囲気すら感じるね。
なにしろミカンは大量に成っている。

 子供たちはそんなオレの感傷など無視して、あのミカン取って!、これだあれだ!と、どれが大きい小さいやら、なにやら忙しい。
ミカン食べてみると、おー、けっこう甘いじゃん。
酸っぱさはあるが、甘味もなかなかあって、これならけっこうイケル味だ。

 でかいミカンよりも、小さいミカンの方がうまい。
小さいミカンは大量に成っているので、それに小さいのならどんどん食べてもすぐに腹一杯にはならないので、小型のミカンをせっせと収穫しては食べまくる。

 小粒のミカンは見慣れないので(Sサイズよりも小さめ)、むしろ珍しいミカンに感じる。
うまいじゃん、国見オレンジ、ってカンジだな、とオレは思った。
ミカン園といったって、斜面だし、ここの園は面積的には一反もないのではなかろうか。
でも、なんかとてもうらやましいミカン園だ。

 大量に食べきれないほどのミカンと、年月を経た古いミカン樹、私設果樹園を作るなら、やっぱりミカンは確保したい、とオレは思う。
ミカンの網袋にいっぱい詰め込んで、園の人が言うには営業はせいぜいあと一週間で、今年は晩秋まで暖かかったとはいえ、いつまでも樹にミカンを成らせておくと樹が痛むので落としてしまうのだという。

 というわけで、もっと大量に収穫したとしても、料金はたいしてかからなかっただろうけどな。
経験的に言って、ここのミカンは外観が綺麗ではないことや酸味などの事情で、ミカン狩りの体験として収穫しながら賞味するには大変良いが、自宅のこたつで落ち着いて食べ続けるのはやや不向きなので、大量に持ち帰っても困ってしまう。

 ともあれ、子供達が、自分が収穫したのはどの袋だったとか(オレにはどれも同じに見える)、それの持ち帰りにこだわる光景は、それは微笑ましいことで、オレとしても気分良いことであり、果樹シンパの同志育成に努めているところなのである。
さて、帰りの車中で、あれこれしゃべりながら運転していると、「おじちゃんの赤いクルマ出来た?、乗りたい」と子供がいう。

 ん、赤い?、うちにあったっけ?、よく聞くと、オレが自走式の草刈り機を改造して、小型リヤカーを牽引して乗用できるようにしたのがあって、赤い色ではあるが、とてもカッコ悪い乗り物なんだけど、「それに乗りたい」というのだ。
改造作業も大体終わったので、ともあれ帰ってから、急いで軽トラックにその乗用草刈り機を搭載、もう夕暮れだから、慌ただしく再出発!。
広い空き地で、ガーガー唸らせながら走り回って(危険防止のためにオレはつきっきり)、晩秋の一日は過ぎていったのであった。

写真
歩行式のハンマーナイフモアを改造して、乗用できるようにした

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