アリスファームにとうちゃーく
 ヒッチハイクさせてもらったお礼を言ってから、園内に入ってブルーベリーを摘んでいると、藤門さんが白と黒の二匹のプードルを連れて現われた。

写真
オレを避けてる?みたいに体が傾いているが、撮影中
に犬が行ってしまわないように首をおさえているため

 プードルと言っても、毛を刈り込んだりはしていないし、でっかい。
スタンダードプードルという種類で、とーってもフレンドリーで、しかもブルーベリーを食べるのだ。
果物を食べる犬、というのは、オレ、見るのは初めてだ。

 天候も暑からず過ごしやすく、お客として爽やかな女性達が大勢きていた。
小さな子供達が「甘いね」「おいしいね」「大きい」という歓声が響いて、なんだか平和でうっとりするような光景だ。

 昨日疑問に思ったウネの上への草の乗せ方について、園主の藤門さんに質問してみる。
我ながら、なんちゅーマニアックな質問じゃ、と思いつつ、藤門さんはちゃんと答えてくれた。

 ここで使われている乗用草刈り機は、刈り取った草を集めておくことができるタイプなので(オレが見たときは集草装置は外してあったのでわからなかった)、これで刈り集めた草を、手作業でウネの上に載せている。
この載せる作業が大変なようで、もっと楽にできるようにと藤門さんはいろいろ模索中とのことだ。
「今日は(客が)多いなあ〜」といってたが、それは世間では盆休みの最中のためでしょうね。

アリスファーム三日目
 宿泊は小樽市の外れの民宿に泊まったが、朝に電車やバスを乗り継いでアリスファームへ出かけると、宿に帰ってくるときには、もう夕方になっている、というありさまで(乗り換えの便の待ち時間が長いのだ)、他の用事を入れづらいので、こうなったらアリスファームのブルーベリー園に専念することにして、今日も出撃!。

 今度は、電車にもバスにも遅れることなく、朝九時に到着。
朝露に濡れた芝生がすがすがしい。
客はオレが一番乗り。

 藤門さんは今日も草刈ってる。
「疲れた」と言うので、オレから話し掛けるのを遠慮していると(早朝から作業していたらしい)、「今日は変な団体が来る」という。
ヘンな団体?。
変な団体って、宗教の人?。

 オレはついそんな連想をしてしまったが、「いや違う」という。
園内に入っても食べずに摘み取り料金分だけ払うという団体がくるらしい。
ちょっと解説すると、ここアリスファームのブルーベリーは、入場料八百円(園内で食べるのは自由)、持ち帰りパック通常二百円で、おおまかにいえば、一人あたり千円を目安にしている。

 子供が入園料およびパックに摘んでお土産にして親は入園料だけでパック無し、というパターンや、大きなパックで沢山摘み取り、というパターンがあるから、一人あたりの料金は少し変動するが(※以後は大型パックの例は省略し、通常型持ち帰りパックについての説明)、持ち帰りのブルーベリー代金については、二百円ってコトはないでしょ、とオレがつい言ってしまうくらいに、アリスファームは持ち帰りパック料金を今回「割安」に設定してあった。

 が、その団体は、入場はしても食べずに持ち帰り用のパックに摘むだけ、と言う。
アリスファーム側としては、そういうパターンは予想外だったと思うが、となると困ったことに一人千円どころか、お客一人あたり二百円だけ、という大安売りブルーベリー園になってしまうのだ。

 この持ち帰り用パックというか容器は、ブルーベリー園用の特殊な専用容器で、オレは別の園で容器代一個五十円を払って摘んだことがある。
この差額を考えると、摘み取りのお客さんが来ても、一人につき百五十円だけ、になってしまうとあっては、園主として悩んでしまう?のも無理はない。

 いや、団体さんなので総額で考えれば結構な額かもしれないが、それよりも大問題は、他の一般のお客さんが食べていると、持ち帰り摘み取り専用の団体客さん達までが、つられて園内で食べ出す、ということが問題なのだ。
一人二百円しか払ってないのだから、それは困る。

 というわけで、団体客以外の一般客は、この時間ではオレ一人だったので、藤門さんいわく「おーつさん、少しの間、摘み取りはしても食べないようにしてもらえないだろうか」という。
お安い御用です、とオレは快諾して、どんな団体が来るかと待っていると、すぐに観光バスでその一団は来た。

 関西弁を話す団体であった。
誤解を避けるために、ここでオレから補足を述べておこう。
大阪ではミカンやイチゴは、観光農園で摘んで持ち帰ることはできるが、畑で賞味することは絶対に許されない、ということが「常識」となっている。
係りのおばちゃんが監視して「食べんとってや〜!絶対あかんで〜」と常に呼び掛けている、そうだ。

※以前に「ひきた ゆみ」さんから電子メールで教えていただきました。
ひきた ゆみさんのホームページはココ。
YUMI'S バナナ日記

 で、採った分を最後に計量してその重さの分だけ代金を払う、ということだから、変な団体というわけではなく、慣習が違うだけなのだ。

 さてさて、団体一同が受付の建物に集まったところで、藤門さんの口頭説明があった。
オレも団体客に混じって聞いてみる。

 ブルーベリーは花や紅葉が美しいこと、挿し木して自分で育てたこと、根元を傷めないように注意してくださいとのこと(※補足 痛める具体的な話はなかったが、ウネの上に立ったり、またがないように、という意味)、あと、眼に良いという話。
眼に二十四時間限定で効果があり、その後は効果がなくなってしまうが、アリスファームのジャムや果実を毎日買って食べればいい、と最後は宣伝も兼ねた冗談を言って皆を笑わせた。

 いざ、摘み取り始まり。
みんな摘むだけで食べないから、うまいとも甘いとも子供たちの声がほとんどなくて、少しさみしい。
ほとんど、であって、全くではないのは、少しつまみ食いの人もいたから。

写真 写真

 摘み取りが終わって、アリスファームの売店にみんな歩いて行くので、なにを買うのかな?と思ってオレもついていくと、大繁盛していたコーナーはトイレであった。

 新しい団体が来た。
また藤門さんの口頭説明があるので、オレもまたまた聞いてみる。
前回の団体とは別の団体だから、同じ話を繰り返してもいいのに、藤門さんは話題を変えたので可笑しい。
気が変わったのか、それとも、オレがまたいるので、気をつかってもらったのだろうか。
でも、眼に良いという話は、最後のオチまで同じだ。

 さて、オレはもう帰らねばならなかった。
北海道&東日本パスという安い電車切符(北海道まで往復一万円)を使ったが、茨城県の自宅まで片道約三十時間かかってしまうからだった。

アリスファームのホームページ
観光スポットガイドによる記事

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