「T&F」さん宅おうち訪問
 毎日更新の自然日記が面白い「T&F」さん宅を訪問!。
さっそく車庫上の農園(と言うべきだろう)を見学させていただくと、ブルーベリーの苗木がぎっしり。
小さな苗木を含めて百本くらいか、栽培はブルーベリーがメインだ。
賃貸菜園では植えづらい「果樹」のブルーベリーが、車庫上に集約して存在しているようだ。

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「T&F」さん宅の車庫上農園。棒を組んであるのは防鳥網を張るため。
ビニルハウスは、車庫上の中央付近にかすかに写っている。2001年12月22日撮影

 クリスマス時期からのイチゴ収穫を狙ったハウス栽培を、見せていただいた。
ビニルハウスといっても大きさは一坪ぐらいと思ったが(あとで四畳半と判明)、中央に通路があって片面はイチゴで、板製イチゴプランター?を見ると、うむ〜、確かに白い花が咲いてて、赤い果実がぶらさがっているぞ。

写真
福田 俊さんとハウス内部の様子。イチゴは左下にあり写っていない
2001年12月22日撮影

 花粉の受粉作業が大変だろうと想像していたが、というのはハウス内には受粉させる昆虫がいないので、結実させるために人工受粉が必要だが、これはしんどい作業だろうと思っていた。
が、栽培者の福田さんは絵筆をとりだして、ヒョイヒョイと次々に受粉をこなして、あっけなく完了させた。
一週間に一度でいいという。
思っていたよりも簡単そうだ。

 イチゴの基本習性についてだが、冬は寒さで休眠し、春に暖かくなると開花結実して、夏はランナー(子苗)を伸ばすというサイクルを踏む。
では、苗を冷蔵庫や高冷地に運び込んで、秋のうちに「寒さ」をある日数ほど体感させると、どうなるか。

 イチゴは冬を過ごしたと勘違いして、それから暖かい温室に入れると、春だと思って果実を成らせ始める、というのが、オレが知っていた情報だ。
が、福田さんのイチゴ栽培はこのような「冬」擬似体験はさせていない。

 夏に育てた苗を、秋から保温ビニルハウスに入れただけで成り始める、という。
秋からハウスに入れるだけで、翌年の初夏まで連続的に成り続けるという。
半年もの間ずっとだよ!。
イマイチよく理解できないのだが、ともあれ充分に成る!という現実を福田さんちのビニルハウスで見たので、オレなりに納得した。

ブルーベリー講習会
 ここ車庫上の農園は、夏はブルーベリーの収穫が中心だ。
ブルーベリーは今のこの時期(十二月二十二日)、紅葉および落葉中。
目をひくのがノビリスというブルーベリーで、これだけは黄色に紅葉?している。
赤でなく「黄色」なので、混植してもノビリスだと見分けがつきやすそうだ。

 ちなみに、福田さんのオススメは、ノビリスは一番に推薦というほどではなく、デライトがいいという。
デライトとは意外に思った。
ノビリスもデライトもラビットアイブルーベリーだ。
ブルーベリー全体では、ハイブッシュを含めれば、スパルタン(※)がオススメとのこと。

(※)スパルタンという名前は商標登録されて、別会社では対策上、同一品種を別名で登録したことにより(スパルタングロー)、表記名が現在ややこしい事情があり、しかし、古い本に名称「スパータン」と掲載済みで登録権利問題が発生しない呼び方があるので、この果樹園日記ではスパータンと表記することにした。元々の英語表記は「Spartan」。

 スパータンは、夏に枯れやすいという性質があり、猛暑のときは水やりを頻繁にやっても防ぐことができず、葉っぱが赤茶けてしまう。
だが、接ぎ木をすればあっさり解決できる。
この情報は福田さんのホームページ日記から得ていたのだが、さっそく接ぎ木のやり方について講習開始だ。
受講希望の生徒はオレだ。

接ぎ木のやり方
 まず、挿し木で育てたホームベルを、黒ビニルポット植えのものを持ってきて、根元から三センチほどで切断する。
ホームベルの「切り株」といっても太さ三ミリほどだが、切り出しナイフで、切り株の真ん中に深さ一センチほど、切り込む。
そしてスパータンの枝を切ってきて、芽を二つ付けて五センチほどに短く切り、この穂木の根元先端をくさび型に切って、ホームベルの台木に差し込む。

 差し込んだら、接ぎ木テープでぐるぐる巻きにする。
接ぎ木テープというのは特殊なテープで、園芸コーナーでもあまり売られていないが、材質的には台所用品のラップによく似ていると思う。
オレは以前にセロハンテープで巻いたことがあるが、接ぎ木が全部失敗して懲りたことがある。

 あと、カッターナイフで台木に切り込むと、刃が薄いため切り口が押し広がらなくて穂木を差し込みにくいので、分厚い切り出しナイフの方が使いやすい。
接ぎ木は難しい技術だと思っていたが、福田さんの作業はあっけなく完了。
思ったよりも簡単そうだ。

 ややめんどい情報をオマケで付記すると、形成層という部分を合わせる必要があり、形成層とは皮のすぐ下の緑色の部分のことで、台木と穂木の形成層が合うようにする。
また、接ぎ木というのは本来は三月ごろ行い、それまで穂木は冷蔵庫にビニルに包んで保管しておいたりする。

 もっとも今回はブルーベリーの接ぎ木にしても、イチゴのハウス栽培についても、園芸レベルとしては上級レベルに相当するというか、一般の園芸書にはあまり載っていない知識だが、専門書を読んでも難しい文章で書かれていたりするので、実際に目の前で見た方が、ずいぶんわかりやすい。

ブルーベリー農園の面積
 ここ車庫上のブルーベリー農園は、面積は〇・五アールだ。
東京の市街地なので、面積や場所は、地価の制約上で仕方がない。
でも、ここ車庫上の農園は、日当たりが良く、管理も上手で、どの苗木も伸びがと〜っても良い。

 収穫シーズンには、毎日ボウル一杯のブルーベリーが収穫できるという。
毎日ボウル一杯の収穫か〜、いいなー。
〇・五アールでボウル一杯なら、一アールも面積があれば、ブルーベリーを毎日お腹一杯たくさん収穫できることになる。
果樹園は一ヘクタールとか広い畑がありさえすれば、とオレは思っていたが、そうでなくても実現可能みたいだ。

 福田 俊さんから栽培の話をたくさん聞かせてもらったあと、奥さんの作った関西風の薄味美味ウドンをいただいた。
(※ホームページ名の「T&F」は、福田 俊さんと妻の冨美子さんの頭文字らしい)
そのあとベリーコテージ訪問ビデオを見せてもらった。
ベリーコテージは東京近郊にあり、ブルーベリーの摘み取り園でログハウスの喫茶店もやっているお店の名前だ。
面白い内容だったので、ここにも行きたいなと思った。

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