風のごとし林のごとしベリー追撃戦
 いざ、ここで自宅に帰るという手もあるが、オレは考えあって、別の道をとることにした。
自宅のある東部方面でなく、西部方面に向かうことにしたのだ。
いざ、西上の途(みち)へ。

 オレは、再び突進を開始した。
風のごとく、高速道路を疾(はや)き走り、
林のごとく、果樹を植え、
火山を見ること、浅間山のごとし。

 武田信玄も通った碓井峠(うすいとうげ)を目指した。
碓井峠の先、軽井沢北方に、ブルーベリーの名前がついたレストランがあるという。
そこに行くことにした。

 峠を越えて、軽井沢の街へ突入。
車中から、街を眺める。
軽井沢といえば、東京の避暑地、ガイドブックに紹介される素敵なお店、テニスをしたり、というのがオレのイメージだ。

 だがだ!、オレが車中から眺めた軽井沢の姿は、廃虚や無人や老朽化の建物が多く、やや荒廃気味の光景だ。
たぶん国道沿いは古くから開発されてしまったので、 お洒落なペンションや新しい別荘は、奥の方にあるんじゃないかな、と解釈した。

 高原の有料道路に入ると、急激に素晴らしく良い道路と美しい林の風景になり(国定公園内か)、雄大なる浅間山のふもとにレストラン「ブルーベリー」があり、そこに停めた。

 おお、眺めいいぞ!。
ブルーベリーを使った料理を、片っぱしから注文して、といいたいが、オカネ節約のため、数点を注文して食べてみる。
もぐもぐもぐ…。

 料理としてはこれでいーんでないの。
場所がかなり高地なので材料補給が大変そうだし、と納得の理屈をいちいち述べるのは、ブルーベリーのネーミング店名や皿は特注のブルーベリー模様だったりでそれはそれでステキだが、肝心の栽培はしてないこと、と、ブルーベリーの料理はメニューのうちの一部分なので、店があんまりブルーベリーっぽくないからである。

 と、我ながら問題発言のよーな気もしないでもないよーな、いや、しているな、これは。
お、レストランブルーベリーの脇っちょに物産店の休憩所があるぞ。
そこに入ってみよう。

 めずらしーことに、ここでグーズベリーの果実が販売されていたのを見つけた。
スグリね。
味はすごくすっぱくて、緑色のままで、未熟のまま売っていたんじゃねーか、と思うほど。

 今から思えば、自分でジャムに加工するための原料、として売っていたんじゃねーかな。
長野県は、伝統的にすぐり(グーズベリー)が植えられている家庭が多い、ということがわかったのは、これまただいぶ後になってからのこと。

 常北(常陸北部)の地から、押し出してオレはこの地までやってきたが、もっと成果が欲しくてイマイチ不満足だったが、もう日も遅くなっている。
よし、ウチに帰ろう。
オレの遠征は、ここでいったん引き上げじゃ、引けーい引けーい!。

(まだ)つづく

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