果樹園用の草刈り機ハンマーナイフモア
 研修というか果樹園アルバイトのときに、そのとき使った機械に「ハンマーナイフモア」ってのがあった。
よーするに、草刈りの機械で、『大型芝刈り機』だと思えばいい。

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ハンマーナイフモアの後ろ姿

 オレは、そのときまで、ハンマーナイフってモノを知らなかった。
刈り刃がハンマーのような形をしていたらしいから名付けられたらしいが、このような機器が生まれてから二十年は経っているらしく、今の刈り刃は、ハンマーとは似ても似つかない形をしている。

 おお、そうだそうだ、実際に使った話からしてみようじゃんか。
ブルーベリー園の草を刈ったんさ。
手押し芝刈り機みたいに、ガーガーエンジンうならせながらさ。

 幅六十センチくらいで刈り取っていくから、(棒の先端に回転刃がついた)刈り払い機を使うよりは、多少は作業速度が早いかな、という程度。
このときはまだ、この機械のすごさはわからなかった。
刈った草はミンチになる、という粉々になる、という利点があった。

乱闘雑草園
 ブルーベリー園だけでなく、イチジク園の雑草も刈った。
ここのな、雑草がすげえの。
放置イチジク園、といってもいいような、お粗末な管理のイチジク園だったが、よーするに雑草を刈ってないから、猛列な雑草園と化しているのだった。

 見かねて、最初オレが刈り払い機でやってみたが、全然話にならないほどの大量雑草で、草の根元から切ることができないくらいの超大量雑草で、全然作業が進まん。
刈っても、高さ一メートルもある草が横倒しになって、折り重なり、積み重なり、前後左右上下が大雑草ボウボウで、足下がろくに見えず、ただひたすら草の洪水で、とても前になんか進むも歩けもしやしない。

 で、ムリヤリ、ハンマーナイフモア(この当時は、ハンマーナイフとは言わず、バロネスと呼んでいた。メーカー名ね。)を投入する。
バリバリバリーッ、とおおーっ、すげえ、ミンチにする効果ありで、やたらとかさ張る大雑草が木っ端みじんの敷地となって、ようやくセイセイとした。
イチジクの枝がな、これが、バカみたいに密植してあったから、おまけに剪定もろくにしてない園だったから、通路にイチジクの枝が張り出ししまくっていて、通路を前に進めん。

 こーゆー、地面を這っているよーなイチジクの枝は果実もろくにつかないから(雑草の下の方を伸びていて日光不足のため)、こうゆうのもハンマーナイフで、無理やり馬乗りで、のしかかって進む。
ズガガガガッと、壮絶に通過したあとは、太さ一センチほどのイチジクの枝は、木っ端みじんに粉砕されているのだった。

 というわけだ。
すげえぞこれはよ。

買うか買わざるか悩みに悩む
 で、新たな展開、那須高原での園。
休耕田だったから、なにやら太か草が茫茫生えとる。
ススキだの、小さな柳だの、牧草みたいなゴッツイ草。

 まあ、ふつうだったら、刈り払い機にチップソーという回転刃を装着して、切り取るわけだが、長さ一メートル位の太い枯れ草が、それが、その場に大量に残ってしまう。
ほんに邪魔くさい。
作業だって大変だし、それに草刈りというのは、一回だけじゃない。
広い面積を毎月、年に五回も十回もやらなきゃならない、という恐ろしい事態がある。
マイ(私の)果樹園を作る、といっても、果樹を植えてて、何が一番大変かと行ったら、雑草!が一番大変だあっ!、と断言するほどだ。

 で、考えましたよ、利点欠点、カネとコストと成果を計算して、ハンマーナイフモア買うか?、いや迷いに迷って、だって最も小型のものでも三十万円もするんだよ、そんなに払いたくない。
あーだこうと細かく計算して、費用対効果を考えて、んんん〜、でも雑草刈り手作業でやりたくない、コストに合うか?合いそうだ、でも、あ、うむう、三十万円ドンと支払って、買ってきました、ハンマーナイフモア。

 「趣味」の果樹園芸というには、三十万円は、やっぱり高額すぎる。
ので、事業用の機器、ということになる。 
ブルーベリー栽培は、まずは収益はこの三十万円を回収するのが目的だっ、と、本気印のブルーベリー園造成用の機械、投資、というわけだ。

ハンマーナイフモア導入
 で、使ってみてビックリ、やたらとレバーがある。
両手のハンドルに、それぞれブレーキレバーはあるが、もうひと組のナントカレバーと、親指で操作するカントカレバーと、ハンドルの中央根元にも変速ギヤのレバーがあるし、それでも足りなくて、ヒザのところにもあって、歩きながら変速をかける。

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ハンドルの握る部分には、ブレーキレバーのようなものが2個ずつ付いている

 操作はなんとか覚えたけど、設計者はかなりの機械マニアに違いない。
で、これを軽トラックに積み込む。
心ウキウキ、遠路、那須高原に出発だ!。

 草を刈り始めた。
雑草刈りの能力は充分素晴らしく、大活躍だ。
胸の高さほどもある雑草が、細切れのチップにしてしまう。
ヤナギの小型の木ぐらいなら、これも粉砕してしまうのが利点だ。

 刈り刃の構造は、ハンマーのような刃がついていて、これを前方に蹴り上げるようにして、雑草の根元から引きちぎって回転して粉砕して行くのだが、この構造でなぜ細かく粉砕できるのか、オレは今だによく理解できない。
が、とにかくチップになる。

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あとで写真をつける。
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歩け歩け!雑草刈り隊
 せっせと刈る。
毎月刈る。
まだ造成したばっかりだから、強烈な草の根っこが残存していて、それがまた生えてくる。

 でも、やたらと歩く距離が長い。
疲れた。
だって、もう真夏だよ、ハンマーナイフモアの速度に合わせて、セカセカ歩いていると、それも二、三時間以上も歩いていると、こりゃー、疲れるや。
方向転換は辛く、うっかり苗木を粉砕しそうになること続出。
全力を挙げて回避行動でかわすが、かなりの力仕事で、女性には手に余ると思う。
ちなみに、オレが買ったハンマーナイフモアは最も小型のもので、これ以上軽いものは無い。
※追記:三菱農機製でさらに一回り小型で安価のものがあることを後日知ったが、性能はよくわからない。

 乗用芝刈機だの乗用草刈り機というものが欲しかったが、八十万円だの百万円だのといった、絶句!するほど値段が高い。
ウーンウーン、とさんざん考えて、リヤカーというかテーラーというか、荷台をひっぱって、オレがその荷台に乗って操縦するのはどうか。
耕耘機が車椅子をひっぱって走る、と想像すればよい。

乗用式に改造
 部品を買ってきて、牽引用の座席作りに挑戦だ。
これの工作が甚だ難しい。
リヤカーって原始的な道具だと思っていたが、単なる四輪だと方向転換できないし、接合部が左右可動および少し上下可動しなくてはならず、しかも接合部はかなりの重量がかかるし、おまけにリヤカーと本体を取り外すことができるよう、脱着式でなければならない。

 ムズい、難しいぞ。
鉄の溶接ができれば、いいんだが、オレは道具も技術も不足していた。
ワイヤーというか電線を縛り上げて接合部分は作ったが、あとで、ちぎれて切断してしまった。
接続金具ひとつすら、ろくに自作できない、という自分の腕前を露呈してしまった。

 とはいえ、のべ五万円、のべ工作に十時間以上もかけて、試行錯誤の末に、なんとか使える状態になった。
イェ〜イ、さっそく乗って走らせてみる。
座ったまま風を切って走ると、すごくラクチンに感じる。
でも、まだまだ改良進行中。

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歩行式のハンマーナイフモアを改造して、乗用できるようにした

 ああ、そうだ、このハンマーナイフモアというのは、重さが百三十キログラムもあるので、軽トラックに積んで園まで、いつも往復している。
軽トラックって、これがうちでは一番高価な農業機械だが、これはオレの親のものだ。
荷台に乗せるための金属製ハシゴや、ハンマーナイフの燃料(ガソリン)入れの専用容器だの、トラックの荷台に固定するための特殊なロープ縛り方を覚える(これがよく忘れる)だの、カネと手間もなにかとゴチャゴチャかかるので、作業は便利になったとはいえ、いろいろとメンドクサクなったよーな気もするね。

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