水田跡地へのハイブッシュの植え付け苦闘
 借りた土地は休耕田で湿りがちだったから、苗木をポットから抜くと根鉢の形になっているが、この根鉢の半分こだけ、地面に植えるようにしたわけよ。
下半分だけ田んぼ土に埋めて、上半分は枯れ草盛り上げて包み込んで、これでOKとしたわけよ。
で、だ。

 まさかの借りた土地大移動だ。
意見の衝突で、植えた苗木の全面撤去で隣の田んぼへ総移動だ。
何の意見がどう衝突したかは、思い出すと腹立つのでここでは記載しないが、将来はオレの生活が絡むマジな仕事なので、遊びの果樹園芸といいながらも、内心ではクソ真面目なオレなのである。

イラスト

 植えた苗木を掘り返す。
掘り返しながら気付いたことだが、地面に小さく掘った鉢土の穴ボコに水がたまり、そこが酸素不足で腐ったのか、ドブっぽい臭いがする。
掘り上げたブルーベリー苗木が、鉢土ついたままそのまんまの形なんだが、どうも田んぼ土に埋めるのは全然根付かないし、埋めた部分が不完全分解の酸欠状態で腐るらしいのだ。

 というわけで、土地を移動して新たな植え直しのやり方についてだが、地面はやはり水田跡地なので、まず、地面は平らにする。
そこに、苗木をそのまま置く。
刈り取った枯れ草などを分厚く苗木の周りに積み上げる。

 枯れ草は熊手で掻き集めるが、そのとき地面の土も一緒に寄せて、苗木の周りに積み上げる、という手法を採った。
というかさ、前回は地面に半分だけ埋めたが、今回は地面に埋めないで、マルチを周りに盛り上げる方法は同じだ。
(このへんはイラストを入れる)

 秋の台風や、冬の乾燥した季節に、隣の「サッシ屋さんのブルーベリー園」さんから連絡が入った。
植えた苗木が、強風で倒れているという。
後で見にいくと(遠距離なのですぐに行けない)、確かに植えた苗木が何本かぶっ倒れている。

 枯れ草をぶあつく盛り上げて、ここに根を生やすための用土としたが、なにしろまだ根が張っていないので、強風で倒れたらしい。
また雑草主体の用土?なので、密着性がよわく、柔らかくてしっかり固定できないのだ。

 傾いた苗木は、元の形に戻しておいた。
全体のうち少数が傾いて、根っこが露出して枯れた苗木が数本でてしまった。
大部分はまあ、助かったけれども、早く根付いてくれー。

 冬を越し、春になり、新芽が伸びる時期になり、夏本番にはずいぶんと芽が伸びるはずだったが、どうも不調気味だった。
あまり伸びていない。
なんでだー?。

 品種が様々で多品種だったので、あるていど揃えて植えていたが、不揃いの植え方のものもあるので、なるべく同じ品種は一列に揃えるようにしていた。
一列にすることで、わきっちょから見ると、同じ品種がずーっと並んで、葉っぱの特徴や生育ぶりが、品種ごとに見分けやすいという利点がある。

 そうするため、バラバラに植えた苗木を揃えるように、追加作業で植え直しをよくやっていたのだが、そのとき見えた問題は…全然根っこが伸びていないのだ!。
田んぼの土に伸びていないのは、水田跡地は粘土質だから、そこにブルーベリーの根が伸びにくいことは承知していた。
だから、地面の方に根付くのは、オレは初めからあまり期待していない。

 だから、枯れ草を大量に掻き集めて、苗木の回りに盛り上げて、そのまま堆肥として、そこへブルーベリーの根が張るようにしたのだ。
ピートモスって高いからね。
雑草を刈った草なら、雑草刈りは頻繁にやるから、常に提供できるので、低コストでピートモス代替品提供という計画でいた。

 それがうまくいかない!。
刈った草って、両手一杯で大量にあるように見えても、実際は水分が多い。
おまけにすき間の空間の空気の割合が多い。
つまり、刈った草をこんもりと株元に盛り上げても、月日かたつと、ぺちゃんこになってしまう。

 ほこりなどの土も混ぜて、熊手で掻き集めるとき表土も削って寄せるようにしていたが、数カ月たつと、あれほどあった雑草マルチの量は、ほんのほんの少ししか残っていない。

 おまけに乾燥がひどい!。
夏に刈った直後の草は水分一杯だが、これを重たいくらいに敷き詰めても、乾燥してしまえば、雑草の束はスカスカ、軽量になってしまう。
ブルーベリーの根っこは全然張っていかない。
おまけに続いて襲ってきた天候は、雨無しの猛暑だ!。

 仕方ないから、足で枯れ雑草のたばを踏み固めて、水分保持するようにしたが、残った雑草堆肥の量はわずか。
雑草の分解も早いようだ。
ピートモスの方がなんぼかたくさん残っているほどだ。

 この年(二〇〇四年夏)についてだが、前年は植えたばっかりだったからその年の発育が思わしくなかったのは仕方なかったとしても、一年たった翌年になっても、雑草マルチが落ち着いても、生育が悪かったのはどうやらこの植え方はよくなかった、ということにオレは気付いた。

 芝刈り機を買って、刈った草を株元に乗せる作業も重労働だったし、この芝刈り機方式は時間がかかりすぎて維持できないことが体験的にわかった。
スイーパーという機器も自作して、これで枯れ草集めも計画していたが、芝生と違って雑草は水分が多すぎてうまく集草できず、これもうまくいかないことがわかった。

 このころの作業はツライ。
発育は思わしくないし、収穫はあまりにも少ないし、作業も多い。
それでもよく頑張ったと思うが、悪戦苦闘の時期でもある。

 苦闘つづきのハイブッシュブルーベリー園に対し、ラビットアイブルーベリー園の方は投入作業の時間も割合も半分以下だというのに、順調な発育ぶりだ。
水田跡地へのハイブッシュブルーベリーというのは、文献で見ても難しいということは前から知っていたが、後日に入手した資料から見ても、ほとんどが失敗するという水田跡地へのハイブッシュブルーベリー植え、という表現もあるくらいで、そのような難問にオレはアタマを突っ込んでいたのだった。

 二〇〇五年一月ごろ、新たな土地を借りることができたので、苗木の大量?追加購入をした。
新たな土地とは、かつてオレが最初使っていて、その後引き揚げた土地だが、またオレが使うことになったのだ。

 耕うんした土地だが、オレの経験から言って、耕そうが、耕さないだろうが、どっちにしても、ここの土にはハイブッシュブルーベリーは根付かない、ということを植えた苗木を数百回ほじくり直した体験から判断していた。
地面にハイブッシュブルーベリーの根が全然、入っていかないのだ。
全然、伸びない。

 硫安の肥料をやろうが関係なし。
雑草の堆肥をもりあげようが、関係なし。
で、今度の対策だが、しびれをきらしたオレは、ピートモスの大量購入だ。

 というか、植木鉢でのピートモス用土で、植木鉢での発育はそれなりに育つようになっていたから、植木鉢の用土と同じものを、畑に穴掘って、同じ用土を投入しようという考えだ。
田んぼの土の土壌改良はあきらめた。
田んぼの土がブルーベリー向きの土に変化するようにするのは、難しいからあきらめて、植え穴だけのピートモス空間内だけで根が育つようにした、というわけだ。

 T&Fのブルーベリーの植え方を大いに参考にした。
というか、今までのオレはオレ自身のやり方に悩んで、ピートモス代をケチっていたが、あきらめて大量投入することにしたのだ。
植え穴へのピートモス用土投入量は、苗木一本につき三十リットル。
コンテナ一杯分の量だ。
安いピートモスがこのころの時期から買えるようになってきた(六キューブ約二百リットルが約二千円)、という恩恵もある。

 穴をシャベルで掘る。
直径六十センチぐらい。
深さ二十センチぐらい。
深さは、もっと深く掘るのが一般的だったようだが、なにしろここの土地は水田跡地なので、深いと水たまりができやすい。

 シャベルの刃が二十から三十センチなので、穴の深さは二十センチに留めた方が重労働はいくらか楽になるし、ブルーベリーはそもそも浅根性で、深さ二十センチくらいしか根は張らないという。
だから、穴は一般の文献みたいに三十〜四十センチも掘る必要はないだろう。
という具合に、オレは文献どうりでなく、自分の判断も加えているんだが、文献どうりにやらないというのは、今までの経験から言っても手痛い目に遭い続けているので、オススメしかねるけどな。

 数百個、穴を冬中、掘り続けて、ピートモスとモミガラ混合土を数千数百リットルも作って、どっちも重労働だ。
買った苗木がこれまた高く、約二百本買って総額約二十万円というオレには超高額となった。
二〇〇五年の一月以前からやっていた穴掘り&ピートモス用土作り&植え付け作業は、三月になってもおわらず、四月になってもまだやっていた。
が、なんとか一段落した。

 よう、がんばったわい。
四月、五月の芽の発育時期になり、もう生育は安心と思っていた。
が!、だ。
二〇〇五年夏の失敗もまたすさまじかった。
もう〜、苗木が枯れるのが続出したんだから、ああ。

 排水溝は掘ってあって、そこの水面を見ると、水田跡地の地下水位は地下五十センチくらいのようだった。
だから、植え穴をほって深さ二十センチというのは、水はけが悪い水田跡といえども、大丈夫だと思った。
だが、襲ってきた天候は、今度は大雨つづきだ!。

 地面びしゃびしゃで、植え穴のピートモスだが、ピートモスな、これは圧縮百七十リットルでほぐすと三百リットルになるとか書いてあるけど、思い出すとこれはヒデー話だぜ。
何がひどいって言うと、ほぐしてふくらんでも、それは空気で膨らんだからで、植え穴に入れて水を吸って月日が立つと、空気が抜けて沈みこんでしまうからだ。

 だから植え穴に地表すれすれまで入れたつもりのピートモス用土が、五〜十センチ近くも地盤沈下を起こし、そこに大雨で水がたまった。
すぐ雨がやめばいいんだけど、去年みたいにさ。
それが今年は真夏に降り出した雨がなかなか量が多かったので、水がたまりっぱなし。

 ピートモスには硫安も混ぜてあったから、水がたまっていたから高温もあって不完全分解を起こし、ドブみたいな屁みたいな臭いの(硫化水素らしい)異常を起こし、苗木がバタバタバタと枯れるものが続出!。
前年までの浅植えでは、枯れ草マルチで乾燥がひどいといっても枯れたのはほとんどなく数本だけだったが、今回のピート植え穴投入ではこれは正統な植え方なのかもしれないのだが、今度はこれで枯れた本数が数十本。

 ふたたび、オレはまた、全数植え直しをしなければならなくなった。
またかよ!。
限界近くに達していたが、つらいね。
こんな経験の数々、このように原稿に書くなんて、つらい思い出だから書きたい気力だってわかねーよ。

 今の植え方だ。
水がたまった植え穴を観察すると、ようするに植え穴が深すぎるんだ。
深すぎるくらいだったら、むしろ前年までのように植え穴深さゼロセンチの方がまだマシ。

 植え穴深さゼロセンチメートルでは乾燥に悩んだからな。
水がたまった植え穴を見ると、その穴内部での水面は地表から十センチほど下だ。
ということは、穴を掘っても、十センチまでの深さまでならイイ、ってことだ。

 ということを、観察からオレは判断を導きだし、すり鉢状の深さに掘った植え穴というものは、オレはやめることにした。
つまり、周りの土を崩して、深い底の方を埋めて、浅くした。
直径六十〜八十センチ、深さ十センチほどにした。
このように広く浅い穴にした。

 今度はこれでいいんじゃないか?。
広く浅い穴といっても、たいした植え穴空間には見えないが、ピートモスを投入すると三十リットル入ってしまう。
以前は投入したピートモスが深く沈みこんでしまって困っていたが、今回は、深さ十センチの穴だからたいして沈まずにすむだろう。

 この浅穴式のところに、ブルーベリー苗木を植えた。
小さい苗はそのまま植えられるが、大苗になったものは深さ十センチでは根が収まらずに、地表にだいぶ鉢土が飛び出してしまうものもあるが、かまわずにそうして、それにはピートモスを山型に盛り上げてある程度、包む。
これのやり方で、植え直すことにした。

(後で写真を入れる)

 それまでの今までのやり方の、最初、鉢土の半分埋まる植え方に最初数百本植えて、その後、地表に置いて枯れ草チップで包む植え方に全本数植え直して、その後、直径六十センチ深さ二十センチに掘ってピートモス投入した植え方に全本数植え直して、その後、直径八十センチ深さ十センチの穴に直して全本数植え直そう、というのだから、今までのオレの植え方の試行錯誤、もう〜、苦労しっぱなしじゃないか!。

 あああ〜!、疲れたよう!。
いつになったら、素敵なベリー収穫をチョイとさっさと済ませて、その後は美術館・博物館巡りをゆっくりすることができるんだあ〜?。
泥まみれ、汗まみれの、開拓農民さながらのオレの姿だし、苦闘はまだ続く。

いったん原稿終わり。

作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
▲目次へ戻る