鹿沼土の替わりにモミガラはどう?
 ピートモスにモミガラをよくまぜる。
この用土を、小型の鉢にひとつずつ、詰める。
そして、発根したばかりの挿し穂を、慎重に植えた。
よし、と。

 なにしろもう根は出ているので大丈夫だ。
これで一安心だ。
ココロはもう、いずれ数年のうちに、夏の収穫がざくざく採れる光景を夢みてしまう。
なんだか、うっとり。

 挿し木は、密集して挿したので、ポットに一本ずつ植え替えたわけだ。
あとは水切れをしないように、毎日管理すれば大丈夫だ。
こうして、待つ。

 だが!、芽が伸びないのだ。
枯れてきたのもあったので、あとで、その鉢をばらしてみた。
すると、発根したはずの根がないじゃないか。
腐ってしまったようだ。

 モミガラがたくさん混じって、スキマが多いので、発根したばかりの根は、活着が悪いらしい。
というか、ブルーベリー挿し木床に、モミガラはよくないようだ。
ということがわかった。
このことに気付くまでに、かなり多くの挿し穂を枯らしてしまったぜい。

写真
このぐらいモミガラが混じっていると、発根したばかりの根には、じつは良くない
2003年5月7日撮影

モミガラの増量は一:一の同量の割合まで使えるが
 まったく現実がこの失敗では、まだ夢みている場合じゃないぞ。
それでも全滅はせず、根がそこそこ多かったものについては、なんとかうまく用土に根付いて、順調に育ち始めた。
ふう〜。

 モミガラの混合量もいろいろ試したよ。
節約、というのが目的だから、モミガラ(タダだった)はできるだけ多量に混ぜたい。
が、混ぜ過ぎるとピートモスがうまくくっつかない。

 ピートモスが充填材となって、モミガラの粒々がくっつき合うぐらいを目標にした。
どのくらいまで混ぜても大丈夫か?。
これについても試行錯誤と失敗が多かったが、そして結論が出たのはかなり後日になるのだが、ここで、あらかじめ答えを言っておこう。

 モミガラで増量するときは一:一の同量の割合まで使える。
それ以上モミガラをやると、根の発育が悪い。
というか実際に、モミガラ二:ピートモス一で鉢植えしたら、生育がイマイチで、あとで鉢をばらしてみたら、根っこがろくに張っていなかった。

 他の鉢も含めて大体の傾向としては、充填したピートモスのところだけ根が伸びて、モミガラそのものには根は食い込まない、ので、(腐って分解しないうちは)モミガラには根が張らない、といえる。
なお、モミガラ混合は、挿し木のときの用土には使えない。

 挿し木床は、ピートモス百%で育つことはわかっているので、モミガラが無くても問題ない。
ピートモスに鹿沼土を混ぜた場合は、挿し木床に使える。
鹿沼土を買わなかったオレは、この挿し木の場面で、鹿沼土の価値を思い知ることになったわけだ。

ブルーベリーに適した肥料「硫安」
 さてさて、挿し木のときは、用土に肥料は入れなかったが、発根のときは肥料成分があると、かえって不調になるという。
だが、根が出て、ある程度育ったあとは、肥料をやった方がよく伸びるという。
オレは、それまで果樹栽培をやってきていながら、化学肥料というものを買ったことが、ほとんどなかった。

 今回のブルーベリー苗の育成で、初めて化学肥料を使うことになった。
肥料は、これもコスト削減の関係で、硫安(りゅうあん)を使うことにした。
硫安とは硫酸アンモニアの略称で、チッソ成分を主とし、昔からある最も基本的な肥料だ。
それにしても、硫安の安ってアンモニアのアンか!。
ひょっとして、アンモニアは安藻煮阿とでも書くのか?どうか知らないが、この当て字っぷりは、なんだか亜米利加(アメリカ)だの夜露死苦(ヨロシク)みたいだな。

 ブルーベリーは、アンモニア態チッソを好む、とのことなので、酸性の成分が適していることもあり、硫安とブルーベリーは相性がいいのだ。
だが、どのくらい量をやればいいのかが、わからなかった。
やりすぎると枯れる、という。

 仕方ないから、また調べる。
といっても、ブルーベリー書の肥料解説では、なんだかワケがわからんのだ。
そもそも、ピートモスというのは、コケが永年堆積してできた有機物の固まりであって、これ自体が肥料といってもいいくらいだ。
じゃ、ピートモスだけあればいいかとなると、水を入れて苗を植えただけでは育たなかった。

 当時は、その発育不良の原因がわからなかったが、つまり、水をまぜたばかりのピートモスはまだ腐っていないんだ。
堆肥にはなっていないので、そして未熟有機物というのは、初期分解するときは、チッソ成分を消費する、という性質がある。
植物が育つのに必要な栄養であるチッソを、分解のために使ってしまうので、植物は育たない、わけだ。

 だから、堆肥というのは、ナマのものを畑に与えるんじゃなくて、完熟した堆肥になってから、畑に与える、というわけなんだ。
完熟したあとは、チッソ飢餓になることはなく、ちゃんと植物が吸い易い栄養源になっている。
で、ピートモス、これはコケの未分解物の固まりであるから、いつかは腐るわけで、ブルーベリーの栄養にもなるだろう。

 というわけで、硫安を使うのは、苗木の初期発育だけ、に使うわけだ。
硫安だけの栄養で育った果実は、味が悪いそうだから、木が大きくなってからは硫安はオレは使わないけど、苗木のうちに使うならべつに大丈夫だろう。
苗木一本につき、どれだけの量を使えばいいか?。

多すぎると枯れるけど、硫安の適正量は?
 井原 豊「びっくり野菜教室」という有機農法の最高峰(とオレは思う)の本があって、野菜は一反につきチッソ二〇キログラム必要という。
肥料として米ぬかを使う場合は、米ぬかはチッソ二%ぐらいだから、一反チッソ二〇キログラムを確保するためには、米ぬか千キログラム必要だという。
つまり、一反という面積の畑だったら、一トンの米ぬかをやればいい、というわけだ。

 化学肥料の場合は、チッソの濃度がもっと高いから、一トンもいらない。
硫安のチッソ成分は、二〇%だから、一反につき、硫安は百キログラムをやれば済む、わけだ。
これで一反につき、チッソ二〇キログラムを確保できる。
このへんの計算は、ちとめんどくさい。

 オレはブルーベリーの栽培だけど、鉢の表面面積は、一反(千平方メートル)もないから、仕方ないから、細分割する。
千平方メートル硫安百キログラムだから、百平方メートル硫安十キログラム、十平方メートル硫安一キログラム、一平方メートル硫安百グラム、十センチ四方で硫安一グラム。
植木鉢の面積?は、十センチ四方ぐらい相当の面積だから、それにタテヨコ高さ十センチ四方というのは、これで一リットルになるから、とりあえず、ピートモス一リットルにつき、硫安一グラム、という答えを、オレは出した。

 井原 豊「びっくり野菜教室」は、肥料が根に直接触れると痛むから、根から離して肥料をやることを推薦している。
で、オレもやってみた。
最初は鉢でなく、露地植えした木に与えてみることにした。
株と株の間の中間地点に、百グラムずつ、地面に浅く穴を掘って、まとめて入れた。
で、その結果は?。

 元気よく育つ株あり!。
今だかつてないほど、元気よく急激に育つ木があった。
すごいぞ。
だが、発育がたいして良く無いものもあった。
木によって、ムラあり。
離して投与したので、肥料に根っこが届いたものと届いてない株の差がでたのだろうか。

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