大粒スパルタンがついに登場
 まさに、色良く、カタチ良く、豊満で、しかも超デカイっ!。
このデカさ。
大きい、ということは、それだけで感動をもたらす。

 そして、大事につまんで取って、そっと食べてみると、これがまさに芸術的な美味しさだ。
うまいっ!。
美味しいねえ!。
ちょうどいい具合に甘みと酸味が調和して、とってもおいしい。

写真
これは5年前に他の園で撮影したスパータン
2004年6月13日撮影

 この大粒さと美味しさなら、個人のネット販売品として出荷すれば、どこでも通用できるぞ。
オレは果実を売った経験がないので内心ビクビクしがちなんだが、でもこのスパルタンなら自信をもって説明や販売もできるってもんだ。
でもさ、熟し始めたばっかりだから、出荷するほどには、まだ数が少なかった。

 だから、オレが自分で食っちまった。
いやあ、うまいねえ〜。
せめて、数がまとまって採れればな。
もっとたくさん採るにはどうしたらいいのだろう?。

 とりあえず、スパルタンの苗木の数を増やすべきだな。
増やすといえば、苗を買うか自分で作るかとなる。
が、自根と接ぎ木苗では違いがある。
違いの一つとしては、自根の苗によるものが熟すのが早くて、接ぎ木苗は熟すのは遅かったな。

 では自根苗がいいかとなると、後日になって振り返って思うと、そんなことは全然ない。
自根苗は、大粒の成る数がやや不足して、収穫の後期には中玉が多くなった。
ダッシュは早いが、失速するのも早い、という感じだった。

 そもそも果樹では、樹の伸びが急成長中のものは、果実は熟すのが遅くなる。
接ぎ木苗でも成長が落ち着けば、自根苗と同じくらいに、果実が早く熟すハズだ。
というわけで、自根苗にはラビットアイの苗木を寄せ接ぎする予定だが、接ぎ木の話は後にしておこう。
今は、スパルタンが採れ始めた時期のころの話だ。

スパルタンが予想外の早さで成熟開始
 それにしても一つの特徴として、スパルタンが、ちょっと早めの登場なのが意外だ。
実際のピークは、オレのところ(北関東)では六月下旬が、スパルタンの収穫ピークになる。
スパルタンは早生品種といっても、早生のなかでは遅い方、というのが実感なんだけど、それがな、収穫前半の果実に限っては、どうしたわけか、予想以上にずいぶんと早い時期から採れ出すのだ。

 品種解説の説明文やカタログによれば、極早生のウェイマウスが一番最初に収穫で、次にコリンズやデュークなどの早生品種が続く。
その次に、スパルタンが続く。
そのように順番に次々に採れていくのなら、それはそれで良い。
だが、現実にはそうではなくて、コリンズやデューク、オニールといった早生品種が始まる時期に、それよりも遅いはずのスパルタンが、同時かやや早いくらいのフライングで収穫が始まってくるのだ。

写真
関東のブルーベリー園では、摘み取り期間が6月20日ごろから
8月までという例が多いが、スパルタンを採るなら6月のうちに。
2004年6月13日撮影

 ウェイマウスがまだたくさん残っている時期に、スパルタンの極大粒が、最高の美味をもって、いきなり登場だ。
こんな黒船来襲みたいなブルーベリーが登場してきたからには、ウェイマウスの後期果実は一気に見劣りしてしまい、ウェイマウスの出番は終わりと思われた。
それだけでなく、オニールやデューク、コリンズなどもまた、存在価値が一気にかすんでしまいそう!。

 そうはいっても、スパルタンの収穫初期の果実は、数がまだまだ少ないから、スパルタンの特大果だけを集めて出荷することはできなかった。
収穫数は少ないといっても、この時期はスパルタンの収穫の中でも、最も巨大なものが採れて、ひときわ味が良い、という最高の状態だ。
最高といっても、今年のオレの園では販売したいからスパルタンを味見で食べ続けるわけにはいかず、というわけで、オレはもっぱらウェイマウスをまだまだ食べ続ける羽目に。

 ウェイマウスは極早生で、シーズン初期は他に収穫できるものがなく、独走できるからまだいい。
でも、スパルタンと収穫期が並走してしまうオニールは、かなり困った事態に。
スパルタンとオニールが同時期の収穫だから、両方の果実を比べると、ようするに「スパルタンの木をもっと増やしたいが、畑の広さの都合で(どれか減らすとなれば)、オニールはいらないんじゃないか?」と思ってしまうほど。
そのかわりといってはナンだが、オニールには別の役割が、しかも重要な役割があることがわかった。

スパルタンの花を充分に受精させたい
 スパルタンの樹の数を多くすれば、初期の特大果も、もっと数多くとれるはずだ。
あっ、でも受粉の関係で、隣には別の品種を植えなきゃならないぞ。
うーん、どうしよう。

 そういえば、今年(二〇〇九年)の春の開花を思い起こせば、ウェイマウスとスパルタンは開花が同じくらいだった。
どっちも咲き始めは、しょぼしょぼと花が開き始めていて、その少なさでは、お互いにうまく花粉が受精できそうもなかった。
寒い日もあって、虫なんかほとんど飛んでいねえしさ。

 だが、そのころ、オニールがちょうど満開。
南部ハイブッシュのオニールは、開花まっ盛りだった。
品種というのは、早く熟す品種は開花も早い、というのが一般的だから、極早生のウェイマウスよりも早く開花する品種が必要となれば、北部ハイブッシュの中からはあまり期待できず、南部ハイブッシュの品種しかあるまい(早く咲いてやや遅く熟す)。

 スパルタンのシーズン初期の特大果をたくさん採りたい、ってワケだから、早く咲いた花は確実に受粉させて、大きく成熟させたい。
たまたま偶然だが、オレのところはスパルタンの隣がオニールだった。
実際にこれで、うまく受精したようだ。
というわけで、オレの園としては、オニールの花粉でスパルタンを受精させようと思う。

 話を繰り返すと、オニールがまず、花が満開になるだろ。
そのころに、スパルタンが咲き始める。
ということは、スパルタンを受粉させるには、オニールが好都合、とオレは考えるわけよ。
受粉しなくちゃ、スパルタンは大粒のものができないのだから。

 オレが観察した限りでは、オニールとウェイマウスの花粉は、スパルタンのめしべに正常に受粉させることができる。
その代わりに、オニールは受粉がうまくいかないが。
オニールの開花期は、他のブルーベリー品種の花があまり咲いていないためだろう。

写真
オニールだが、小さな赤っぽい実は、うまく受精できなかったためらしい
2009年6月19日撮影

 去年なんか、オレのところのオニールは、結果枝一本につき二花芽に減らす丁寧な剪定をしたら、あんまり成らずに、一果房も成らない枝が続出!したほどだ。
シビレを切らしたオレは、そのため今年はまったくオニールを剪定しなかった。

 そしたら、今年は逆に、果実が成り過ぎてしまった。
そのためオニールは果実が成り過ぎて、熟期が遅れてしまい、果実も特大にはならずとなってしまった。 

 他にも、もう一つ実例を挙げると、ウチの庭にも、ウェイマウスとスパルタンを一本ずつ植えてある。
スパルタンはそこそこ結実したが、ウェイマウスの果実の太り具合が悪い。
つまり、スパルタンの花粉は、他の品種をうまく受精させることができないようだ。

つづく
2009.7.31 記
2013.2.08 2ファイルを1ファイルに文書まとめ
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