家庭果樹【4位】ユズ
 オレんちのあたり茨城県北部では、冬の寒さでミカンが栽培できないので、代わりにユズが植えられていることが多い。
ユズは、よく成る。
病気もつきにくいし、摘果もいらない。

 成る年と成らない年の差があるが、裏年でも結実皆無ということはない。
冬でも緑の葉っぱが茂り、黄色い実が付いてて見た目もいいし、果実の日持ちもイイ。
家庭果樹として高評価をつけるね、オレは。

 病害虫としては、苗木の時はアゲハチョウの幼虫による被害が酷い。
小さな苗木のとき、被害は集中する。
アゲハ幼虫の猛攻で丸坊主になってしまうと、成長がますます遅れてしまう。

 だから、日当たりが良くて、土も肥えて、管理の行き届く場所に植えておくのがいい。
成木になれば、葉っぱが固くなるためか、アゲハチョウの被害はほとんどない。
ということで、むしろ、いくつかある欠点を重点的に述べておこう。

イラスト


 欠点として真っ先に挙げることは、そんなにたくさんいらない!、ということだな。
たくさん成りすぎるのが欠点、というのも変な話だが、捨てるのも惜しいし、実際多すぎて悩んでしまうのだからしょうがない。

 ユズはよく成る。
でも、段ボール箱一杯とか、まじでいらねえよ、そんなには。
経験的にいって、一般家庭ではユズは5個や10個もあれば、もうたくさん!。

 ユズ風呂?。
湯にどっさりと入れれば、全身、ユズくさくなってしまうぜ。
全部で10個もあれば充分だろうに。
調理用に至っては、皮を刻むにしても、2、3個もあれば間に合う。

 というわけで、この解決案としては、タネ無しユズの、多田錦(ただにしき)という品種を植えることだろうな。
タネなしだと便利なんだ。
タネ無しの多田錦であれば、まずは、果汁だろ。

 ふつうのユズで、果汁を絞るにしても、タネが多いのなんのって。
絞るとタネがどっさりありすぎ!。
タネを取り除く手間って面倒で、果汁利用がしづらいんだ。
タネ無しの方がはるかにラク。

 お次はジャムだ。
これまたタネがごっちゃりあると刻んで煮込むわけにはいかない。
タネ無しの方が断然ラクなわけよ。

 というわけで、ユズの中でも、オレは多田錦を推薦する。
今まで推薦してなかったのは、今まで一個も多田錦を収穫したことが無かったからだ。
だが!。
今年(2016年)初めて、オレんちでも多田錦の果実が成ったんだ。

タネ無しのユズ品種を接ぎ木してみた
 多田錦の苗木の入手は、かつてはやや難しかった。
オレんちでは多田錦として購入した苗木が、タネありのユズだったしよ。
苗木屋の中で品種間違いだ。

 結局20年近くもオレはそのままタネありのユズを栽培してきたが、ユズって、木が古くなってくると、果皮にアザが多発するようになる。
綺麗な外観にならないんだ。
木が初期のうちは、もっと綺麗な果皮だったこともあって、バッサリ大幅に切り詰めて、新しい枝を伸ばしつつあった。

 そんなある日のこと、コメリというホームセンターで多田錦の苗木が売られているのをたまたま発見!した。
珍しい。
その苗木を買ってみた。
そのまま植えると、初期発育が悪い、というのを経験的に知っていた。
アゲハの被害にも遭い易い。
そこで初期発育を旺盛にするべく、この買ってきた苗木の枝を切り刻んで穂木にして、既存のユズの木に接ぎ木することにした。



 オレは接ぎ木の技術をブルーベリーで覚えていたこともあって、常緑樹の接ぎ木はよくわからなかったが、高接ぎ更新してみることにした。
穂木は、常緑樹はいつも葉っぱが付いているから、いつやるんだ?。
4月か5月になれば、常緑のユズといえども新芽が伸びてくることから、その前の3月ごろが無難かな?。
よくわからん。

 ユズは2、3カ所ぐらい、接ぎ木が成功すれば、それでもうたくさんだから、そんな少数なら、実現するのは難しいことじゃあ、ない。
とりあえず3月に4箇所ぐらいやってみたら、接ぎ木は3箇所成功した。
よーし!。

 元のポット苗木よりも、接ぎ木したものの方がよく育っている。
元のポット苗木は、接ぎ木用の穂木を採取したため、大幅に切り詰められてしまったわけだが、台木も接ぎ木部分も残っているので、もったいないから畑に植えておいた。

その後の発育
 柑橘類は小さな苗木を植えても、成長がだいぶ遅い。
常緑樹は落葉樹に比べると、伸びが遅い。
これは、元々の特徴だ。
ひょろひょろ伸びてしまうと、冬の寒さがきつい時に、小さな苗木は枯れてしまう。

 だから、既存の柑橘類を切り詰めて、そこに接ぎ木して元気良く伸ばした方がラク。
というのを、オレは実践したわけだ。
それから、5年近くも経つ。
伸びてきた。
既存のユズの木に高接ぎしたものは、だいぶ伸びたので、でも接いだ位置が2m近い場所だったので、そこから1m以上のびて、高さがじつに3mに達した。

 高すぎなので、ヒモで誘因してUターンさせているが、それでもまだ開花はまだだし、実は成ってない。
しかし!だ。
コメリで買ったときの、苗木の方、台木の方は畑に植えていたが、これがその後、ひょろひょろ育ち、これに花が咲いて、実がなってしまった!。
2016年のことだ、なんてこったい!。

写真

 果実が成ったのはいいが、ピンポン玉くらいなんだ
もともと、多田錦はミカンでいえば、Sサイズぐらいに小さいのだという。
Sサイズのミカンといったら、だいぶ小さいぜ。

 コメリで買っ多田錦は、品種間違いしたスダチなんじゃね?。
スダチという柑橘類は、ピンポン玉くらいだ。
そんな疑惑をもったまま、いざ収穫!した。

 さっそく包丁で切ってみる・・・・。
タネは・・・ある。
なんじゃこりゃ!。
タネが1個入ってる。

 スダチなんじゃねえか?、でもタネ1個ならありえる。
多田錦というのは、それまで昔から存在していた無核柚子というのがあって(ただし小果)、それにたまたま入っていたタネを蒔いたら、比較的大きめの果実がなるタネなし柚子が成ったので、多田錦として品種登録されたという経緯がある。

 というわけで、オレは収穫した2個目も切ってみる。
2個目はタネなし。
やった!。
タネ無しといっても、少しは入っていることもあるぞ。
というわけで、このたび家庭果樹【4位】ユズとして推薦する。

写真
2016.11.24 記
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