ブルーベリー三年目の営農計画ちょこっと中間報告
 果樹園を作ろうと那須で始まって、あと三ヵ月もすれば、ちょうど三年経過するところだ。
苗木育成はその前からも少しやっていたので、まあ今頃は(二〇〇六年一月五日)、ちょうど三年目となっているし、復習も兼ねて、未来の見通しの収入を計算してみよう。

 そもそも、過去三年間のふんだりけったりの迷走試行錯誤は、もうそれはあまり触れないことにして、オレが気になるのは、ブルーベリー園は何本植えればどのくらい儲かるか?ってことだ。
三年目、四年目にはいくらくらい儲かるか?ってことさ。
作業がだんだん増えてきて、土日だけでやるのは間に合わなくなりつつある。

 特に夏の作業がな。
じゃあ会社辞めて専業でやるかと思っても、ブルーベリー収入がいくらになるか見通しがつかなきゃ、辞めるに辞められん。
だから、収入見通しについこだわってしまう。

 他人のブルーベリー園も、よく視察しに行っているよ。
成木を樹幅二メートルとして、オレは計算していたが、ラビットアイ二・四メートル、ハイブッシュ一・六メートルとしたけど、それは十年近くも先すぎるずっと将来の話で、そんな未来のことを計算するのはとらぬタヌキの皮算用になってしまう。
やめ、やめ!。
未来図は、せいぜい三〜五年後、だ。

 他人のブルーベリー樹を見ると、三〜五年ほど経って、一応まともに成木っぽくなった木の大きさは、もっと小さくて、ハイブッシュで横幅八十センチ、ラビットアイ一・二メートルといったところ。
二メートルもの立派なブルーベリー樹を育て上げるのは、これは年数がかかりすぎるし、それまでに思うようにいかないこともあるだろうから、完全な成木になってからそのときの収穫量を収入基準とするのは年が遠すぎるし、ヌカ喜びしすぎる。



 そこでだ、樹幅で、ハイブッシュ八十センチ、ラビットアイ一・二メートルの大きさなら、こんな小振りのサイズを目標とするなら、充分できることだし、四〜五年あればできる大きさだ。
このサイズなら、一般的にいっても、無理な話では、ない。
その後も毎年ごとにさらに大きくなっていくだろうけど、そんな先のことまではここでは考えない。
その先といっても、収穫量がさらに増えていくのだから、どのみちめでたいことだから省略する。
写真
ブルーベリー一本あたりの予想収入額
 この四〜五年ほどの小振りな木の大きさで、一本あたり何キロぐらい採れるだろうか。
苦悶して考えていると疲れるから、さっさと答えを出してしまおう。
一本あたり収穫は、ハイブッシュ五百グラム、ラビットアイ一キログラムくらい。
これでいくらになる?。

 今は百グラムあたり二百円ぐらいの高値だったりしているが、将来は値下がりもするだろうし、売り物にならない不完全果実もあるだろうから、まあ、表は、百gあたり百円の記載で低めにみてるし、また四、五年目のうちの四年目だから、五年目でハイブッシュ一本あたり千円、ラビットアイ二千円というのがオレの目安だな。

 三年で独立は、収入的につらい。
せめて翌年の四年目からなら収穫倍増だから、四年目からならなんとか。
収入三百万なら、ハイブッシュは三千本必要になるってことになる。
ラビットアイなら、千五百本必要になるってことになる。
ここで、要注意事項がある!。

 ラビットアイは成長がよくて、五年目六年目も収穫量が急増するのが予測できるから、たとえば以前オレがしたブルーベリー園バイト体験ではラビットアイで樹幅二メートル樹がメインだったので、これで計算すると(当時百gあたり二百円)、三百万円の収入は千五百本どころか、三分の一の五百本で可能だった計算になるし、実際の経験ともつじつまがあう。
※その計算の早足復習 樹幅二メートル樹の面積は、半径(1m)×半径(1m)×π(3.14)で、3.14平方メートル。成木で一反(1000平方メートル)あたり1000kgがブルーベリーの平均的収量だから、1平方メートルにつき1kgで、3.14平方mは3.14kg。当時1kg2000円近かったので、3.14kgで6000円。成木1本で6000円となって、250本で150万円、500本で300万円、というあらましになる。
 問題はハイブッシュだ。
ハイブッシュは、木の樹幅が一メートル以上になかなか育たないことが多いようで、「北国の小果樹栽培」という専門書では、ハイブッシュは何年たっても樹幅が八十センチ止まり。
雪で折れたり凍害で枝が枯れたり土質が合わずに生育が止まったりで、地域によって樹幅一メートル以上に大きく育てられるのであればべつにかまわないのだけど、オレ自身はあまり自信がないし、だから表で五年目以降はハイブッシュは灰色表記にしてある。

 ついでに、植えて一、二年目も剪定して、実をならせない方が調子よかったりするので、そこも灰色表記にしてある。
ハイブッシュは、本業で栽培するなら一本千円の売上として、三千本以上という本数が必要になるようだ。



 本数の計算の次は、畑の面積はいかほど必要か?。
これも安直にさっさと答えを出してしまおう。

 ハイブッシュは、列間二メートル×樹間一メートルに植えるとして、とはいえオレがこの間隔で植えたわけでもないが、二メートル×一メートルで植えるならばだ、一本あたり二平方メートル、十アールあたり五百本植え、となり、三千本植えるなら、六十アール必要になる。

 ラビットアイは、列間二・五メートル×樹間二メートルに植えるとして、とはいえオレもこの間隔で植えたわけでもないが二・五メートル×二メートルで植えるならば、一本あたり五平方メートル、十アールあたり二百本植え、となり、千五百本植えるなら、七十五アール必要になる。

 資材置き場とか、日陰とか、防風用の面積も必要になったりとかで、まあ、一ヘクタール必要ってことだろう。
実際には、駐車場も必要だったりするが、農地の法律が大変なのでそれは含めていない。
なお、オレは約六十アール借りているが、日陰や過湿の場所が多いので、実際に使っているのは四十アール分ぐらい。

 土地の借り代についてだが、一般的に一反(十アール)あたり、一万円ほど。
年間でだ。
アパートの借り賃とかの建物賃借とは大幅に違うので、とはいえ、月決め駐車代や家庭菜園の借地料とも大幅に違って格安に見えるけど、まあ三百坪(一反、十アール)あたり年間一万円だとそう感じるが、一ヘクタールは年間十万円になる。

 それに第一、一ヘクタールを一年つづけて雑草刈りしつづけることは、ふつうにやったら死ぬほど大変だ。
まあ思うに、借地は十アール位にして、ブルーベリーの本数は計百本くらいで、土日だけやって副収入は(一年で)二十万円くらいを目指すのが最も楽しいような気がする。
オレも最初はそのようなつもりで始まったのだが。

 現在、オレはハイブッシュ二百本、ラビットアイ三百本の合計五百本にようやく揃えてきたところだが、樹齢はバラバラで、平均すれば四年生くらいかな。
昨年の収穫は、試作程度とはいえ一〜二キロだけだった(剪定しすぎ?)。

  二年生相当の苗は剪定して実を成らせないが、それ以上の大きさで今年から成らせるものは約二百本あり、これらの平均樹幅は初夏に六十センチぐらいになるだろうから、一本につき二八三グラム見込み。
これが二百本だから計五十七kg、もし売れれば五〜十万円ってとこだろう。
少ないというなかれ!。



 最後に品種について、述べておこう。
ブルーベリーはたくさんの品種があるものの、オレとしては試験栽培用の品種は別にして、果実の量産用の品種は数品種だけにして、その苗木をまとめ買いしている。

 ラビットアイは、ブライトウェルとオースチンの二品種を主力にするつもりだ。
この二つは、皮が薄いという情報なので、買ってみた。
というのは、オレの自宅の庭でホームベルやティフブルーの果実を摘んで鍋で煮ても、皮が厚めでうまくジャムにできないという事情があった。
どうしたわけか、オレの地域の土質のためもあるようで、ラビットアイは他よりも果実が固めだ。

 そもそもラビットアイは、ハイブッシュよりは皮が厚めのものが多いようだが、ブルーベリーの代表的な加工品であるジャム加工がしづらいのは困るので、それにオレは観光農園をやる予定のわけだが、お客さん自身もまた摘み取って持ち帰った果実はジャムなどにするだろうから、皮は薄めのものを揃えておきたいという事情があった。

 ブライトウェルは、ウッダードと同じぐらいに早めの熟期だという。
オレは那須高原の栽培になるので、低めの気温とお客さんがくる時期(盆ごろが多い)の事情で、デライトやティフブルーやバルドウィンなどの晩生品種よりは、早生の方が都合がいい。
なお、ブライトウェルの大きさは中粒らしい。

 ラビットアイは異品種と受粉させることが必要だから、もう一つは何にしようか悩んだが、オースチンにしてみた。
あまり情報は出てこないが、皮がうすく、大粒だという。

 フェスティバル(T172)も主力にするつもりだったが、というか、もうかなりの本数を買ってしまっていたが、アメリカでは正式登録されなかった品種のせいか、日本国内でもいまひとつ情報が出てこないので、今はこの苗木の追加購入は中止してしまった。
オレが自宅で栽培した経験では、フェスティバルの樹勢はラビットアイ中で最強部類だが、皮厚めだし、ハイブッシュの品質とはかなり違う。



 オレが栽培しているハイブッシュブルーベリーの品種についてだが、これははるか以前、ブルーベリー園でバイトしていたときに、その園内で優れていた品種を許可をもらって挿し木枝をもってきたものを育てたものが中心になっている。
名無しのゴンベエで品種名はわからずで、ブルータかと思っていたが、その後、正式なブルータ品種もまとめ買いしたがそれは暑さで壊滅してしまい、名無しのゴンベエ品種は、どうやら単に樹勢が良かったスパータンらしい、ということがわかった。

 数十本ほど今、栽培しているが、ひょっとしたらデュークかもという疑念もあって、スパータンだと断定までは、まだできないでいる。
今年は、数十粒〜百粒ほど初めてまとまって収穫できそうなので、今年の夏には品種名が判明できると思う。
早生で大粒で味がひときわ良く、また収穫時期が六月でラビットアイとは完全にずれて都合がいいし、まだそれほど暑くなくて収穫しやすいのもいい。

 ハイブッシュは、他にも南部ハイブッシュも含めていろいろ試作しているが、オレが借りた借地が元水田で粘土質のため、ハイブッシュの育ちが悪くて大変な苦戦つづきなので、ハイブッシュは数を増やしてみようという気があまりおきず、量産態勢なのはスパータンらしき名無しのゴンベエの、ただ一品種だけとなっている。
というか、オレとしては悩んだ末、ハイブッシュよりもラビットアイをメインに栽培することにした。

(追記:名無しのゴンベエのハイブッシュ品種は、顛末はあとで改めて書く予定。)

 そして最後にその他の品種、果樹についてだ。
秋も九月、十月とつづけて収穫をつづけられるよう品種を揃えるという可能性も一応は検討したが、高原で気温が低めであり、ラビットアイは一応栽培できるとはいえお客さんも秋は夏にくらべればガタ減りの季節だし、八月が終わって、九月上旬というのは台風が非常に多い時期で、日よけパラソルだの外に出したままでいると、台風で柄はへし折られ、椅子は風で吹き飛ばされる有り様。

 それに夏バテがひどいので、夏以降に収穫期間の延長はオレはあまり乗り気でなく、それにベリー類は秋にとれるものはあまりないという事情もある。
むしろ延ばすなら前の時期の方へで、六月の時期で、スグリ類やグミ、桑、ユスラウメ、ジューンベリー、ラズベリー、ハスカップ、暖地桜桃などで、ブルーベリーが採れる『直前の時期』は各種ベリーが集中して採れ出す時期だ。

 六月は、真夏よりは気温的にも涼しく、また園芸関係ではヤル気が高い時期なので、オレはこの時期に何か工夫してやりたい。
その情報『ブルーベリー戦略 』
各種ベリーを植えているといっても、ブルーベリー以外に決め手となりそうなものはまだみつかっておらず、試作にとどまっている。

とりあえず、中間報告はこのへんで終わりにしておこう。

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